菊池雄星のトレードで移籍した野手2人がラインナップに揃う。名投手の息子はデビュー3安打
8月12日、トロント・ブルージェイズのスターティング・ラインナップに並んだ野手9人のなかには、先月下旬に加入した選手が2人いた。
「6番・二塁」のウィル・ワグナーと、「8番・レフト」のジョーイ・ローパーフィードがそうだ。彼らは、菊池雄星の交換要員として、ジェイク・ブロスとともにヒューストン・アストロズから移籍した。
ローパーフィードは、トレードの3ヵ月前に、アストロズでメジャーデビューした。メジャーリーグ出場は、移籍前が38試合。移籍後は、8月12日が9試合目だ。一方、ワグナーは、8月12日がメジャーデビュー。ブロスは、移籍前にメジャーリーグで3試合の先発マウンドに上がったが、移籍後はAAAにいる。
ワグナーは、1打席目に二塁打を打つと、2打席目はシングル・ヒットで1打点を挙げ、3打席目もシングル・ヒットを打った。最後の4打席目はセンター・フライに終わったが、その後、好守も披露。センターへ抜けそうな打球をうまく捕り、素早く一塁へ送球した。
上々のデビューとはいえ、これからは、まだわからない。ワグナーの父は、通算422セーブのビリー・ワグナーだ。父が1993年のドラフト全体12位だったのに対し、息子は2021年の18巡目・全体538位。この順位は、一緒に移籍した2人と比べても、かなり低い。ベースボール・アメリカによる、アストロズの球団プロスペクト・ランキングでも、ブロスとローパーフィードは2位と5位、ワグナーは19位に位置していた。26歳の年齢も、3人のなかでは一番上。プロスペクトとしては、そう若くない。
もしかすると、6月中旬までブルージェイズにいたキャバン・ビジオのような、ユーティリティとなるかもしれない。マイナーリーグで守ってきたポジションを見ると、ビジオと違って外野の経験はないものの、二塁を中心に三塁と一塁も守り、わずかながら遊撃の守備にもついたことがある点は、共通している。
ちなみに、ビジオの父は、殿堂選手のクレイグ・ビジオだ。ワグナーの父とビジオの父は、アストロズでチームメイトだった。ワグナーの父のアストロズ時代は1995~2003年、ビジオの父は1988年から2007年まで、アストロズ一筋にプレーした。
ローパーフィードは、移籍前が打率.236(106打数25安打)と出塁率.299、2本塁打、移籍後は打率.111(36打数4安打)と出塁率.135、0本塁打ながら、ブルージェイズとしては、テオスカー・ヘルナンデス(現ロサンゼルス・ドジャース)がたどった道を歩んでほしいと思っているのではないだろうか。
2017年の夏、ブルージェイズは、フランシスコ・リリアーノをアストロズへ放出し、テオスカーと青木宣親(現・東京ヤクルト・スワローズ)を獲得した。当時、テオスカーのメジャーリーグ出場は、2016年の41試合と2017年の1試合しかなかった。
トレードの1ヵ月後にAAAから昇格したテオスカーは、26試合で8本のホームランを打ち、翌年から2022年まで、ブルージェイズの外野の一角を占めた。この5シーズン(2018~22年)のホームランは計121本を数え、シーズンOPSは.771→.778→.919→.870→.807と推移した。2020~21年は、シルバースラッガーに選ばれた。