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酒井宏樹が語った「僕の新たなモチベーション」とは? 右膝についても言及 #浦和レッズ

矢内由美子サッカーとオリンピックを中心に取材するスポーツライター
浦和レッズに加入して3年目の2023年、チームキャプテンを務めた酒井宏樹(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

■12月13日に浦和との契約延長

2021年夏から所属する浦和レッズとの契約を延長した元日本代表DF酒井宏樹が、今季限りで現役を引退した元日本代表FW大津祐樹(ジュビロ磐田)とともに12月26日、埼玉で小学生を対象にしたサッカークリニックを開催した。

大津が代表取締役社長、酒井が取締役を務める「株式会社ASSIST」によるイベントで、小学生約450人が参加。FIFAクラブワールドカップ(サウジアラビア)から帰国して間もなかった酒井は軽くボールを蹴る程度にとどめ、「もっと動きたかったですね」と言いながらも「楽しかった」と笑顔。イベント後は大津とともにインタビューに応じ、浦和での4年目となる2024年やその先の目標などについて語った。

12月26日、自身が取締役を務める株式会社ASSISTのサッカークリニックに参加した酒井宏樹(写真提供:FootballAssist)
12月26日、自身が取締役を務める株式会社ASSISTのサッカークリニックに参加した酒井宏樹(写真提供:FootballAssist)

――11月に右膝の半月板を手術した際に、「今季はずっと痛みを抱えていた」という旨のコメントをしていましたが、ケガのタイミングが分かりませんでした。その中で思い当たるのは沖縄合宿最終日(1月29日)のサガン鳥栖とのトレーニングマッチで、終了間際に右足を痛めた場面です。

酒井「あの時です。右膝の膝窩筋という筋肉を痛めて、そこからですね。(2月18日の)J1開幕まで2週間くらいだったのですが、1週間半くらい休んで3日間ボールを触って試合に出ました。すごく大変でした」

――その状態で11月上旬までずっとプレーしていたのですね。

酒井「ずっとアイシングしていましたし、腫れも引きませんでした。半月板は手術をして休むしかないので、手術のタイミングをどうするかでしたが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2022の決勝が(4月29日と5月6日に)あったのでどうしても手術するわけにはいかないと思い、手術しないことを自分で決めました。ACL2022が終わったタイミングでやればよかったんですけど、J1リーグの優勝争いもあって…」

2023FIFAクラブワールドカップ準決勝のマンチェスター・シティ戦前日の練習で体を動かす酒井宏樹(中央)
2023FIFAクラブワールドカップ準決勝のマンチェスター・シティ戦前日の練習で体を動かす酒井宏樹(中央)写真:ロイター/アフロ

――11月4日のYBCルヴァンカップ決勝vsアビスパ福岡戦を終えた後、心身とも限界に達したとして手術を決意。全治3カ月の発表でしたが、1カ月後のクラブワールドカップに出場したのには驚きました。2試合(途中出場1、先発1)に出て、現在の具合はいかがですか?

酒井「かなり良い状態で復帰することができました。痛みがないままプレーできるのが本当に幸せでしたね。腫れもなく、水もたまりませんでした」

――全治3カ月を1カ月で治すとは。2022ワールドカップでもグループステージ初戦で肉離れした後、奇跡的にラウンド16で戻ってきましたよね。

酒井「若い選手にはお勧めしませんよ。基本的には治してもらいたいです。ただ、僕の場合は目標を立ててそこに向けて(リハビリを)やったのが大きかったと思います」

――大津さんから見ても驚異的なのでは?

大津「体がバグっているんだと思うんですよ」

酒井「治そうと思えば気持ちで治せますよね。どれだけ自分を洗脳できるか、そういう世界だと思います」

大津「宏樹は気持ちと体が強すぎる。何がすごいかって、目標に対しての身の置き方が、やっぱりプロだなと思いますね。そこに対してやると決めた時にちゃんと実行できる能力」

酒井「そこはもう全力でやる」

大津「目標を立てて、そこに向かってどういう風にやればいいかというところを、きっちりと計算しながらできるのは、宏樹と一緒にいて素晴らしいと思います」

FIFAクラブワールドカップ2023の3位決定戦vsアル・アハリ戦で先発してアッと言わせた酒井宏樹(左から2人目)
FIFAクラブワールドカップ2023の3位決定戦vsアル・アハリ戦で先発してアッと言わせた酒井宏樹(左から2人目)写真:ロイター/アフロ

■酒井「まだまだプレッシャーのあるところに身を置いて」

酒井は2012年に柏から欧州へ行き、ドイツとフランスで9年間プレーし、2021年夏に浦和に加入した。同年12月、天皇杯優勝。今季はチームキャプテンを務め、ACL2022優勝を果たした。

――12月13日に浦和と契約延長したことが発表されました。クラブの公式動画で「この決断に至るまで、本当に自分の中で悩んで悩んでの決断でした」と話していましたし、実際、福岡とのルヴァンカップ決勝戦後は“もしかしたら移籍してしまうかも”と感じる雰囲気もありました。契約延長に至るまでの思いを聞かせていただけますか。

酒井「今季は試合数が多すぎて(※浦和は他クラブの1.5倍近い60試合)かなりきつかったです。だから、そこから逃げようとしていた部分があって、試合数が少ないリーグを探していました。そういう意味ではACL2023/24で敗退したことによって来季、リーグとルヴァンカップだけになったのは契約延長に至った大きな理由ですし、大津くんをはじめ、いろいろな人に相談もして、まだまだプレッシャーあるところに身を置いているのがいいんじゃないかという結論に至りました」

■2024年の目標はJ1リーグ優勝、2025年は…

――浦和での4年目となる来季の目標を聞かせてください。

酒井「浦和ではまだリーグのタイトルを取っていないので、一番の目標はそれになります。やっぱり浦和がもう一段階強いチームになるためには、安定した戦いをするのが大事なのかなと思います。ビッグクラブではあるけど、ビッグクラブになりきれてない部分もかなりあって、改善しないといけない部分はかなり多い。そういうところを追求していきたいと思います」

――浦和はFIFAクラブワールドカップ2023出場によって、2025年に参加32クラブに規模を拡大して行われるFIFAクラブワールドカップ2025(米国)の出場も確定しています。

酒井「2025年のクラブワールドカップは、自分にとっての新たなモチベーションです」

――大津さんからまだまだ現役を続ける酒井選手へエールをお願いします。

大津「僕らは付き合いが長いので、彼のやり方とか、目標を持って結果を出すところとかを、すごく分かっています。無理してもいいから、宏樹らしく自分の描いている目標に対して真っ直ぐに進んでもらえれば、目標は叶うと思っています。リーグ優勝して欲しいな」

(この記事の前編は【大津祐樹が引退を決めた“自分基準”とは? ビジネスパートナーの酒井宏樹とは「お互いをリスペクト」】

イベントで息の合った様子を見せる酒井宏樹(右)と大津祐樹(写真提供:FootballAssist)
イベントで息の合った様子を見せる酒井宏樹(右)と大津祐樹(写真提供:FootballAssist)

サッカーとオリンピックを中心に取材するスポーツライター

北海道大学卒業後、スポーツ新聞記者を経て、06年からフリーのスポーツライターとして取材活動を始める。サッカー日本代表、Jリーグのほか、体操、スピードスケートなど五輪種目を取材。AJPS(日本スポーツプレス協会)会員。スポーツグラフィックナンバー「Olympic Road」コラム連載中。

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