「全世代型」社会保障検討会議、当事者不在の有識者会議に有効な解決策は生み出せるのか
2019年9月20日、全世代型社会保障検討会議が開催された。
2019年の出生数が90万人割れする可能性が高いと報道されるなど、少子化は止まらない一方、ライフスタイルの多様化、「人生100年時代」と、社会保障の再構築が求められる中、最重要政策の一つになっている。
しかし、構成員を見ると、社会保障や労働経済の専門家、企業の代表者たる経団連会長はいるものの、労働者や医療・介護関係の代表はいない。
さらに、「全世代」と言っているにもかかわらず、平均年齢は高く(約64歳)、若者(子育て世代も含めて39歳以下と定義する)は一人もいない。
もちろん、「有識者」会議であり、平均年齢が高くなるのは必然だと思うが、それでも代表性、正統性担保のために、原則、主要ステークホルダーの代表、労使と老若男女の代表者を最低一人ずつは入れるべきではないだろうか。
変化が激しく、テクノロジーの活用が必須なこれからの時代においては、若者の方が新しい価値観や知見を持っていることも多く、こうした意思決定の場に若者がますます求められる。
10月8日の衆院本会議で、安倍総理の所信表明演説に対する代表質問で、国民民主党の泉健太政調会長が同様の指摘を行なったが、今までと異なり、「全世代」と訴えているからには、若者も入れるのが当然だと思われる。
これに対し、安倍総理は「様々な立場の方々から幅広くご意見を伺う機会を設ける方向で検討」すると答弁した。
「当事者」不在の有識者会議が多数存在する
こうした「当事者」不在の有識者は、この「全世代型社会保障検討会議」だけではない。
10月から始まった幼児教育・保育の無償化策で、認可外保育施設の無償化範囲などを検討した有識者会議「幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会」は、子育て世代が不在で、批判の声が挙がった。
さらに、アフターピルのオンライン診療検討会(厚労省)は女性が1人しかおらず、本来は男女の問題であるにもかかわらず、若い女性に責任を求める発言が目立った。(参考:「若い女性は知識がない」「若い女性が悪用するかも」。アフターピルのオンライン診療検討会で出た意見【検討会の経緯まとめ】)
他にも具体例を挙げ出したらキリがないほど、有識者会議の構成員の正統性に対する批判は多い。
結果的に、有識者会議でまとめた提言に対して、当事者から批判の声が挙がることも多い。
筆者が代表を務める日本若者協議会では、2015年から「行政モニター、審議会・委員会等の構成員にもっと若い当事者を参加させる」ことを提言しており、ぜひ早急に実現して頂きたい。