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藤井聡太叡王に挑戦するのは永瀬拓矢九段か? 伊藤匠七段か? 3月19日、叡王戦挑戦者決定戦はじまる

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月19日10時。東京・将棋会館において第9期叡王戦挑戦者決定戦▲永瀬拓矢九段(31歳)-△伊藤匠七段(21歳)戦が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 永瀬九段先手で、戦型は角換わりに進みました。

 持ち時間は各3時間のチェスクロック方式。比較的短い時間設定で、通例では夕方頃に勝負が決します。

 本局の勝者は五番勝負で藤井聡太叡王(21歳)に挑戦します。

トップクラスの両者がぶつかる

 永瀬九段は2019年、第4期叡王戦七番勝負で高見泰地叡王(当時)に挑戦し、4連勝ストレートで叡王位を獲得。本棋戦の主役の一人といえるでしょう。

 翌2020年、第5期叡王戦七番勝負では、豊島将之挑戦者を相手に3勝4敗2持将棋1千日手という歴史的死闘の末に失冠しました。

 第6期で現行の棋戦方式に移行後は、番勝負には登場していません。昨年は挑戦者決定戦で菅井竜也八段に敗れました。

 今年度はシードで本戦トーナメントから登場。佐々木勇気八段、佐藤天彦九段、糸谷哲郎八段を降して挑戦者決定戦まで進んできました。

 伊藤七段は叡王戦参加4期目。段位別予選では四段戦で2回、五段戦で1回敗退していました。今期は抽選時に六段で、六段戦に参加。黒沢怜生六段、高野智史六段、渡辺和史六段、服部慎一郎六段に勝って、初めて本戦に進みました。

 伊藤七段は本戦トーナメントで山崎隆之八段、斎藤明日斗五段、青嶋未来六段に勝って、挑戦者決定戦に進んでいます。

 永瀬九段はタイトル戦登場12回。うち叡王1期、王座4期を獲得。近年のタイトル戦の常連です。

 一方の伊藤七段は2023年度、竜王戦と棋王戦に2回登場。まだ21歳の若さではありますが、実質的にトップクラスと言っても過言ではないでしょう。

 両者は過去に5回対戦し、永瀬1勝、伊藤4勝という成績が残されています。

 今年度は竜王戦挑戦者決定三番勝負という大きなところで対戦。伊藤六段(当時)が2連勝して、タイトル初挑戦、および七段昇段を決めています。

 直近の王位戦予選では、永瀬王座(当時)が勝ちました。

2023年度の両者

 永瀬九段の今年度成績は32勝20敗(勝率0.615)です。

 王座戦では藤井聡太七冠(当時)の挑戦を受け、1勝3敗で失冠。八冠制覇を許しました。

 一方、朝日杯では決勝で藤井八冠を破って優勝を果たしています。

 伊藤匠七段の今年度成績は49勝17敗1持将棋(勝率0.742)です。

 対局数(67局)、勝数(49勝)はいずれも全棋士中のランキングで1位です。

 2日前には棋王戦五番勝負第4局で藤井棋王に敗れ、こちらは敗退となりました。

 伊藤七段はすぐにまた、リベンジの機会を得られるでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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