WBA暫定スーパーミドル級タイトルマッチ
2019年1月13日に、IBFスーパーミドル級タイトルを獲得したケイラブ・プラント。3度の防衛後の2021年11月6日、サウル・“カネロ”・アルバレスとの統一戦に敗れ、プロ生活初黒星を喫した。
11カ月後の再起戦には勝利したが、2023年3月に対戦したWBC同級暫定王者であるデビッド・ベナビデスには、111-117、113-115、112-116の0-3で敗者となった。プラントにとって2つ目の敗北だった。
そのプラントが先週末、1年半ぶりにカムバックした。陣営は周到に相手を選び、28勝(21KO)無敗1ノーコンテストの31歳、トレバー・マッカンビーに白羽の矢を立てた。負け知らずだが、2018年末から2023年5月までブランクを作っており、一度引退した男だった。
だが、立ち上がりからマッカンビーは積極的に前に出る。元チャンピオンのお株を奪う攻撃で、4ラウンドにはプラントに膝をつかせた。
そのままペースを握るかと思われたマッカンビーだったが、キャリア、技術と総合力でプラントが上回っていたか。徐々に引き離され、第9ラウンド終盤に連打を浴び、レフェリーストップ。
試合後、勝者は言った。
「タフな試合だった。少しずつ、自分の戦いが出来るようになったけれど。今夜はインサイドでも戦えることを証明したし、WBAのベルトを手に入れるためにすべきことをやった。
マッカンビーが俺の肩を殴ったが、それも試合の一部。彼はワイルドなパンチを繰り出してきた。こちらは集中力を維持するだけだったよ。それがチャンピオンの戦いさ。マッカンビーがダメージを負っていたので、仕事を終わらせる必要があった。ベルトを手にする時だったね。今はまず、家に帰って娘と遊ぶよ」
マッカンビーもコメントした。
「プラントがインサイドで戦いたがっていることに気付いた。今回の試合に向けたスパーリング中、パートナーに左フックを何度もヒットした。私の得意なショットなんだ。彼にもぶち込みたかったが、十分に捉えられなかった。プラントは上手く対応したね。
もっと離れて戦い、ロングショットを細かいパンチに変えるべきだったかな。でも、なかなか難しかったよ。リングでは、とても楽しかった。素晴らしいショーになったよね。自分の運動能力をプラントに示したかった」
なぜ、プラントの再起戦がWBA暫定スーパーミドル級タイトルマッチとなったのか。WBA同級王座にはこの日のメインイベンター、サウル・“カネロ”・アルバレスが就いており、本来、暫定王者を作る必要はない。また、5位のプラントと8位のマッカンビーの試合が暫定王座決定戦となった点も不可解だ。
ボクシング界においては珍しくはないが、プラントに政治的な後ろ盾があることを痛切に感じさせる一戦だった。