ピッチャーの通知表
投球の安定感を示すWHIP
結果が全てのプロ野球の世界、ピッチャーの成績は勝ち星、防御率で示されることが多いがもう1つ、メジャーリーグで重要視されている指標がある。
WHIP(Wallks plus Hits per Inning Pithedの略)
1イニング当たり何人のランナーを出すかを表した数字で
(被安打+与四球)÷投球回
で計算する。死球や振り逃げ、失策などによる出塁は含まない。
防御率が「結果」を示すのに対し、WHIPは「中身」を示す。
防御率が通知表の評定を表す数字だとするならWHIPは関心・意欲・態度などの○に当たる。
日本ではまだ馴染みの薄い指標だが、メジャーリーグでは公式記録となっている。
1を切ればリーグを代表する投手
1.2を切ればチームを代表する投手
1.4を超えると安定感に欠ける投手
1を切るとはつまり1イニングに出すランナーが1人以下ということ。
9回6安打3四球
この例でWHIPは1ちょうど。平均的にこのようなピッチングが期待できるのならば安定感抜群と言えよう。
逆にWHIP1.4のピッチングは例えば
5回4安打3四球
確かにこのペースで完投するのはちょっと厳しいものがありそう。
8月3日現在WHIPが1を切っているのは前田(広島)、田中(楽天)の2人だけ。数字の面からも球界を代表するに相応しい投手だ。
1.10を切るのはセリーグなら能見(阪神)、バリントン(広島)、杉内(巨人)、
パリーグなら攝津(ソフトバンク)、岸(西武)、金子(オリックス)、菊池(西武)とエースと呼ばれる顔ぶれが続く。
劇場型投手の見分け方
ランナーは出すが結果的には抑える投手のことを劇場型投手と呼ぶ。
勝ち試合でもハラハラドキドキ感を与えてくれるサービス精神旺盛な投手の特徴は、防御率は良いのにWHIPは悪いこと。
今季の成績を見る限り当てはまるのが日本ハムの守護神・武田久。16セーブを挙げ防御率は1.61、抑えとして文句無しの数字だがWHIPは1.68。3回投げれば5人のランナー背負う計算だ。
9回2死1、2塁のピンチを抑えてゲームセット、最後はヒヤヒヤしたが逃げ切りに成功。
ファイターズファンにとっては見慣れた光景なのかもしれない。
防御率と併せて見るべし
どの指標にも欠点があるようにWHIPにももちろんある。出塁をどれほど許したかを示す数値であることからホームランとフォアボールを同等に扱ってしまう。そのため一発を浴びやすい投手は数値の割に失点が大きくなる。
やはり投球の中身を表すWHIPは結果を表す防御率と併せて見てこその数値と言えるだろう。