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「手足口病」各地で行政が警報発令、予防対策は小まめな「手洗い」とマスクの着用 #専門家のまとめ

石田雅彦科学ジャーナリスト
(提供:イメージマート)

 全国的に乳幼児が主にかかる手足口病の報告数が増え、各自治体が流行警報や注意喚起を発令しています。暑い季節に乳幼児を中心に流行する手足口病。どんな病気で感染対策はどうすればいいのでしょうか。

ココがポイント

▼東京都が感染予防対策の徹底を呼びかけ

手足口病 東京都 患者数が基準上回り警報発表 感染対策を(2024年6月20日、NHK)

▼潜伏期間と感染力に注意、免疫が関係か

例年より早い流行『手足口病』あれこれ情報まとめ 子どもだけじゃない...親が重症化することも「その見分け方は?」質問に専門家からは意外な答え(2024年6月26日、MBS)

▼エンベロープ型ではないため、アルコールが効きにくい

手足口病 “警報レベル”でさらに拡大 手洗いなど感染対策を(2024年6月28日、NHK和歌山)

▼全国各地へ感染が拡大、乳幼児や小児への感染を防ぐことが重要

手足口病の感染拡大!2週連続の警報レベルに「すでに流行状態」【長崎】(2024年7月4日、テレビ長崎)

エキスパートの補足・見解

 手足口病(hand, foot, and mouth disease)は、主にコクサッキーウイルス(A6/10/16)とエンテロウイルス(71)という夏風邪のウイルスによる感染症です。現在(2024年)の流行では、群馬県、石川県、奈良県、鹿児島県、滋賀県、兵庫県、三重県などで報告数が多くなっています。

 4歳くらいまでの乳幼児や小児で発症することがほとんどですが、成人でも感染しても症状が出ないか軽い不顕性感染になることがあり、ごくまれに成人でも重症化します。特に、コクサッキーウイルスA6やエンテロウイルス71で重症化しやすく、早期の適切な治療が重要とされています。

 症状は、喉の痛みや発熱、手足や頭皮、口中、顔、肛門や鼠径部などの発疹や水疱(水ぶくれ)、ただれ、炎症などで、手足の痒み、足の裏の痛みなどが出ることもあり、治りかけの時期に、手足などの皮膚や爪がはがれるなどの症状が出ることがあります。

 手足口病に特に効果のある治療法はまだ確立されていませんが、ほとんどの場合、数日で症状がおさまり、自然治癒します。しかし、感染したウイルスによっては髄膜炎や中枢神経系への合併症などにいたることがあり、頭痛や嘔吐、高熱、2日以上の発熱といった症状が続く時にはすぐに医療機関を受診すべきです。

国立感染症研究所の病原性微生物検出情報によると、2024年の手足口病のウイルスはコクサッキーウイルスA6が半分以上を占めていると考えられています。

 このウイルスによる感染の特徴は、水疱が大きめで肛門などの周りに水疱ができることがあり、同じ夏風邪の一種であるヘルパンギーナの症状にいたることもあるようです。

 感染経路は、咳やくしゃみなどの飛沫感染、水疱への接触感染、おむつ替え時などに乳幼児の便を触れた手からの経口感染などとされています。前述したように、子どもから成人に感染後、不顕性のため、成人が感染を周囲に広げる危険性があります。

 特に、便中のウイルスは症状がなくなってから2週間から4週間ほど排出が続きます。そのため、日常的な小まめな手洗い、うがい、マスクの着用などが感染予防に効果的とされています。

科学ジャーナリスト

いしだまさひこ:北海道出身。法政大学経済学部卒業、横浜市立大学大学院医学研究科修士課程修了、医科学修士。近代映画社から独立後、醍醐味エンタープライズ(出版企画制作)設立。紙媒体の商業誌編集長などを経験。日本医学ジャーナリスト協会会員。水中遺物探索学会主宰。サイエンス系の単著に『恐竜大接近』(監修:小畠郁生)『遺伝子・ゲノム最前線』(監修:和田昭允)『ロボット・テクノロジーよ、日本を救え』など、人文系単著に『季節の実用語』『沈船「お宝」伝説』『おんな城主 井伊直虎』など、出版プロデュースに『料理の鉄人』『お化け屋敷で科学する!』『新型タバコの本当のリスク』(著者:田淵貴大)などがある。

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