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澤穂希がIOCにアピールしたこと

松瀬学ノンフィクション作家(日体大教授)

いよいよ、である。2020年夏季五輪パラリンピック招致レースの「最終章」が始まった。4日、国際オリンピック委員会(IOC)の評価委員会による東京の現地調査がスタート。アスリートのトップバッターとしてプレゼンターを務めた女子サッカーの澤穂希選手は大役を終え、安ど感を漂わせた。

「すごく緊張感のある会場でした。(評価委への)手ごたえはあったと思います。東京五輪パラリンピック招致の(活動が)本格的になったんだな、という感じです」

澤選手は、アスリートに最高の舞台を提供する東京大会をアピール。「東京は食べものがおいしい。選手村から(ほとんどの)会場が、10分でいける距離です。選手にとっては移動距離が短いのはからだの負担を軽くしてくれます。試合に集中できる環境と交通だと思います」と会見で説明し、「自国開催のオリンピックとなると、アスリートにとっても、未来ある子どもたちにとっても、刺激のある素晴らしいことになると思います」と言う。

評価委員会へのプレゼンでは、緊張の中に笑いもあったとも。「ウェンブリー(ロンドン五輪のサッカー決勝会場)で試合をするより、緊張しないでしょう」とジョークを言われたそうだ。「サッカーの試合も今日のプレゼンもとても緊張はします。違う緊張感でした。サッカーの金メダルを目指してやるのが本業ですので、試合の方がよかったです」と笑顔で話し、記者の笑いを誘った。

IOC評価委員会による東京調査は7日まで続く。今後も数多くの選手がプレゼンターとして登場する予定。アドバイスを聞かれると、「限られた時間の中で、日本のよさ、オリンピックのよさ、自国での開催の素晴らしさを思う存分伝えてほしい」と期待していた。

4年前の前回16年五輪パラリン招致レースでは、このIOC評価委員会による評価報告書でリオデジャネイロが最有力候補に躍り出た。報告書の評価がそのままIOC委員の投票活動に反映されるわけではないが、ここで好印象を与えたほうがいいに決まっている。

評価委員会のメンバーは前回とはほとんど変わっている。東京としては、「チームジャパン」として結束し、とくにアスリートの訴えを強化していきたい。

ノンフィクション作家(日体大教授)

早稲田大学ではラグビー部に所属。卒業後、共同通信社で運動部記者として、プロ野球、大相撲、五輪などを担当。4年間、米NY勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。1988年ソウル大会から2024年パリ大会までのすべての夏季五輪ほか、サッカー&ラグビーW杯、WBC、世界水泳などを現場取材。酒と平和をこよなく愛する人道主義者。日本文藝家協会会員。元ラグビーワールドカップ組織委員会広報戦略長、現・日本体育大学教授、ラグビー部部長。著書は近著の『まっちゃん部長ワクワク日記』(論創社)ほか『荒ぶるタックルマンの青春ノート』『汚れた金メダル』『なぜ、東京五輪招致は成功したのか』など多数。

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