爆破予告の危うい事実
爆破予告については、その犯行にいたる障壁が極めて低いこと、そして、その罪の重さが社会的影響に鑑みて軽いとみられており、特に衝動的に犯行に至るものにとって、その罰の重さが思い浮かばないことがあるのでしょう。その問題についても取り上げました。改めて、爆破予告を含むネットでの犯行予告について取り上げましょう。
今年のGW前後にあたり、大学や自治体を中心に多くの爆破予告がありました。多くの学校や自治体が休校や業務停止に陥り、社会機能が麻痺したと言っても過言ではありません。まさにテロであったのです。この爆破予告を含む犯行予告には、犯人と社会には被害を与えるもの、受けるものという以外にも、相反する事実(結果)があります。
犯行予告はそれが予告対象にだけでなく、少なくとも広く関係者に伝わる必要があります。犯行予告の一つの目的には対象とした人や組織、あるいはイベント等に対して、その活動を阻害し、貶めることにあります。広く関係者に伝わることによって関係者の不安を煽り、結局その活動を止めようとするのです。もう一つには自分の存在感を確認する手段としての犯行があります。自分の行為によって社会全体が大きく動くことによって満足感を得ようとするのです。愉快犯もこの類です。犯行予告を受けた側の対応としては、その予告がたとえ、ほんの少しでも現実の犯行に結びつく可能性があれば、その活動を自粛する以外に対処法はないでしょう。しかしながら後者である、つまり単に脅しとして、その犯行が事実でない、あるいは完全に犯行を阻止できると考えられた場合はその限りではありません。特に犯人の目的である、自己の誘導による社会不安であれば、逆にそれを阻害する上で大きな対策となるでしょう。
実は今回も犯行予告が多発したわりには大きく報道等で取り上げることは差し控えられました。その理由は、騒動になることで相手の意図に乗じないためと、もう一つには連鎖的に犯行予告が起こらないようにするためです。2008年の秋葉原通り魔事件での犯行予告後には、その後の2週間だけで二十件近くの犯行予告がなされました。これらはほぼ全ての犯行で逮捕に至っていますが、連鎖的に発生したということで大きな問題になったのです。