売り場が変わった!食品スーパーの総菜売り場はベーカリーから イートインへ流れ込む
惣菜の売り場が変化
食品スーパーの売り場がこの1年ほどで様変わりしている。これまでは入店してまず目に入ってくるのは果物、野菜といった生鮮から始まり、鮮魚、精肉、そして惣菜売り場にたどり着くというのが一般であった。
しかし店舗内に入ると、まず目に入るのが中央にベーカリー、その周りに惣菜売り場、すぐ横にイートインコーナーといった売り場作りとなっている食品スーパーが見受けられるようになったのだ。
ベーカリーは冷凍生地を使い、それを店舗で大量に焼く。これにより人手不足も解消でき、焼き立てを打ち出すことでコンビニとの差別化につながる。
食品スーパーのとある経営者の方に聞くと
「ベーカリーに力を入れているのは、大量製造が可能なため、人件費の問題も解消でき、その上、売り上げがアップとなっているからです」
ちなみにベーカリーは夕方に購入する顧客が多いそうで、夕食用として出来立てが命のフランスパン、そして朝食用のパンを同時に購入していくお客も多い。
そして最近の食品スーパーのベーカリーは非常に商品力も高く、各社、力を入れていることがよくわかる。
中には冷凍生地を使わず、独自のブレンドの粉でパンを焼き上げているところもあり、発酵バターを使用するなど一目で顧客が欲しくなるような商品に仕上げている。
焼き立ての小麦粉の香りが店舗にそこはかとなく漂い、その場で食べたい衝動にかられイートインに流れ込むとのこと。
今でも確かに中食での米の需要は大きい。家庭での消費は減少しているものの、以前にも書いたが、増加傾向ではないとはいえ、やはり中食では米は圧倒的な強さがある。
米の消費量が著しく減少していることから、「米離れ」と言われているが、中食では増加傾向
2017年の中食での全体における米の構成比を見ると(惣菜白書2018年参照)
総合スーパーだと売り上げ構成比41%
食料品スーパー38%
コンビニ49%
となっている。
なかでもコンビニは嘗てから言われているように店舗数の増加から売り上げはアップしているものの、この3年間は米飯の構成比率は減少している。
さてベーカリーの話に戻すと、食品スーパーは微増であるが着実に増えている。
食料品スーパーのベーカリー売り上げ構成比の推移を見てみよう。
2015年 2.6%
2016年 2.8%
2017年 2.9%
この数字をみて、なんだ少ない・・・と思われるかもしれない。
しかし他の業態、つまり総合スーパー、コンビニと比較すると、ベーカリーはこの3年、総合スーパーでは2%前後、店舗数が最も多いコンビ二でさえも11%前後で行ったり来たりの状況であり、増加はしていないのだ。
食品スーパーの焼き立てベーカリーに注力していることにより、惣菜の内容も急激に洋風化している。
おにぎりとサラダから サンドイッチとペストリー
さて今回もイートインについてアンケート調査を400名に実施した。
今回で3回目となった。
2017年までは、おにぎりとサラダの相関関係が強いという結果だった。
それがここにきてサンドイッチとペストリーの相関関係が俄然、強くなったのだ。
つまりイートインではサンドイッチ、ペストリーがいずれも食されることが多く、これは単価アップにつながる。
最近の食の傾向として、1食完結型と言われているため、主食と○○といった併売がなかなか難しいとされ、この傾向は店舗側にとってありがたい存在といえる。
この他にスーパーのイートインの利用時間をみると、コンビニとは違い、昼食に利用されることが多い。
面白いことにこれまでのアンケート調査で弁当、パスタ、そして寿司はイートインで食することは好まれないという結論がでた。コンビニとの差別化ができる出来立てのベーカリーはサンドイッチとペストリーを併売してイートインで食べてもらえること、そして上記の理由もあり、各社が力を注ぐのはうなずける。
ということで、食品スーパーの売り場は今、変わりつつある。
最近では急激な人口が減少していくなか、新たなる活路として小型化した都心型のスーパーの出店が目立ってきている。坪単価が多少高くても年収の高い人が多い地域での出店も見受けられるようになった。
以前、ベーカリー店舗が多い地域は年収の高い人が多い地域と、とあるデパートの幹部の方が言われていたことを思い出した。
最近の出店場所をみると、年収の高い人が多い地域で坪単価が高いこともあり、小型スーパーが積極的な出店を手掛けており、ベーカリーを軸にした惣菜展開する店舗も増えていくのではないだろうか。