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広瀬章人九段(37)連勝で走るか? 羽生善治九段(54)巻き返すか? 10月25日、王将リーグで対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 10月25日。東京・将棋会館においてALSOK杯第74期王将戦・挑戦者決定リーグ▲羽生善治九段(54歳)-△広瀬章人九段(37歳)戦がおこなわれます。


 広瀬九段はここまで近藤誠也七段、佐々木勇気八段に勝って、2連勝中。

 一方の羽生九段は西田拓也五段、菅井竜也八段に敗れて、2連敗中です。

 王将リーグは1981年度から7人制となりました。総当たりで、指すのは各自6局。4勝2敗で挑戦者となった例は過去にも多くあり、羽生九段もまだ逆転挑戦のチャンスは残されています。そのためにはもちろん、本局で勝つことが必須条件です。


 羽生九段と広瀬九段の過去の対戦成績は、羽生23勝、広瀬16勝です。

 両者の初期の対戦では、広瀬現九段が振り飛車穴熊を多く用いていました。のちに広瀬九段は居飛車党へと転じ、現在では相居飛車の最新形が多く指されるようになっています。

 直近では王座戦準決勝という大きなところで当たり、羽生九段が勝っています。


 羽生九段、広瀬九段ともに藤井聡太王将(七冠)とタイトル戦の番勝負で戦った経験があります。現在までのところ、七番勝負で藤井王将から2勝をあげた棋士は、羽生九段と広瀬九段だけです。

リーグ初参加の西田五段、3勝1敗に


 10月24日。東京・将棋会館において▲西田拓也五段-△永瀬拓矢五段戦がおこなわれました。


 西田五段先手で四間飛車。永瀬九段が居飛車穴熊に組んだのに対して、西田五段は、「振り飛車ミレニアム」に構えました。前例のある進行をたどって駒がぶつかり、互角の中盤戦へと入ります。

 形勢不明のまま迎えた72手目。永瀬九段が角で歩を払った手が、永瀬九段には珍しいほどの大きなミス。西田五段は龍を切って金と刺し違えたあと、詰めろ角取りで飛を打つ大技を決めました。

 永瀬九段はこのあと粘ったものの、西田五段の指し回しは正確で、逆転には至らず。最後は西田五段が永瀬玉を詰ませて、18時41分、141手で勝利を飾りました。

 リーグ初参加の西田五段はこれで3勝1敗。これまでにも朝日杯でベスト4に入ったり、ABEMAトーナメントで格上の棋士に勝ったりと、その実力は知られていましたが、ここで一気に大ブレイクの可能性も出てきました。

 永瀬九段は1勝1敗。もちろんまだまだ、挑戦をねらえる成績です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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