プロ入りを目指す向山基生ら主砲が勝利に導く【第46回社会人野球日本選手権大会デイリー・リポート7】
7月9日、京セラドーム大阪で第46回社会人野球日本選手権大会が再開された。大会7日目からは二回戦だ。第1試合では、ともに若手の成長著しいNTT東日本とENEOSが対戦した。
先発投手は、NTT東日本が一回戦に続いてルーキーの上出拓真、ENEOSは投手陣最年長の柏原史陽。ともに強気のマウンドさばきとキレのあるボールで、スコアボードには13個のゼロが並ぶ。7回裏、先頭の中村 迅がやや甘く入ったボールをライトスタンドに叩き込み、ようやく試合が動き出す。
すると、直後の8回裏二死から篠原 涼が中前安打を放つと、村上貴哉、川口 凌もセンターに打ち返す3連打でENEOSが追いつく。その裏からENEOSは左腕の加藤三範、NTT東日本も9回から堀 誠を二番手に送り込み、9回は互いに一死二塁のチャンスも得点には結びつけられない。延長10回からは、一死満塁のタイブレークだ。
表のENEOSは、9回裏の守備中に負傷した山﨑 錬と交代した佐々木勝哉から。フルカウントまで粘るも、外角のボール球に手を出して空振り三振に終わると、四番の小豆澤 誠もフルカウントから低目のボール球を振らされる。
その裏、加藤も渾身のストレートで桝澤 怜を見逃し三振に仕留めると、大久保秀昭監督は大場遼太郎にスイッチ。四番・向山基生との勝負はフルカウントから、大場のストレートを向山がしっかりと打ち返し、打球は高々とレフトポール際へ。三塁塁審の手がグルグルと回り、向山は笑顔でダイヤモンドを一周。一回戦でも効果的なアーチを描いた主砲が、またも大きな仕事をしてみせた。NTT東日本は6安打10三振2四球、ENEOSは5安打9三振2四球。数字では互角だが、目には見えない勝負強さが勝敗を分けた。
東邦ガスも主砲の一発でベスト8へ
第2試合は、東邦ガスが一回戦で1失点完投勝利の辻本宙夢を先発に立てたが、日本製鉄広畑は一回戦で完封勝利の川瀬航作ではなく尾嶋佳太。東邦ガスの打線は尾嶋の立ち上がりをとらえ、二死三塁から四番の若林俊充が変化球を豪快にライトスタンドへ運び去る。その後は尾嶋も立ち直り、5回までは2対0のまま進む。
次に得点を挙げたのも東邦ガスだった。6回表に日本製鉄広畑の三番手・池田剛也を一死一、二塁と攻め、髙垣鋭次が左中間をゴロで破る三塁打で2点を追加。さらに、虎谷貴哉の中前安打で5点目を奪う。
こうなれば、辻本は6回でお役御免。7回からは吐前拓哉、水田 裕、小椋健太が1回ずつ投げ、日本製鉄広畑の反撃を1失点に抑えた。東邦ガスは、8大会ぶりとなるベスト8入りを決め、チーム最高戦績となる4強を目指す。
2度の集中打で三菱重工Eastが関東対決を制する
第3試合も、第1試合と同じ関東対決。4月の日立市長杯大会でも顔を合わせた三菱重工Eastと日本通運だ。先発投手は一回戦と同じだったが、投球内容は前回とやや異なる。三菱重工Eastの大野亨輔は、2回表に木南 了に先制ソロ本塁打を許す。一回戦でも立ち上がりに一発を浴びたが、そこから修正して5回を2失点でまとめたように、今回も5回に2点目を失うまで粘り強く投げる。
一方、日本通運の相馬和磨は、6安打1失点で完投勝利を挙げた一回戦のように、1回裏はテンポよく12球で3つのアウトを取る。ところが、2回裏の先頭だった小栁卓也にライトへ打ち返され、エラーも絡んで無死三塁のピンチに立たされる。二ゴロの間に同点にされると、連打と四球の一死満塁から、江越海地に2点二塁打を見舞われてしまう。
日本通運の澤村幸明監督は、3回裏にも相馬がピンチを迎えると、中田浩貴に代えて無失点で凌ぐ。そして、5回表には稲垣誠也の適時打で1点差に迫り、後半が勝負のポイントになる。
日本通運が追いつき、追い越すか。それとも、三菱重工Eastが加点して逃げるか。結果は後者だった。7回裏に先頭の江越海が3本目の二塁打を放つと、犠打やスクイズが敵失、野選を誘って4点目。さらに、小栁のタイムリーなどで6対2とリードを広げる。これで楽になった大野は139球で完投し、三菱重工Eastがベスト8入りした。
(写真提供/小学館グランドスラム)