もはや大谷翔平のMVPは既定路線!? 興味の対象は満票になるかに #専門家のまとめ
メジャー・リーグの長い歴史に埋もれかけていた記録を掘り起こしながら、それを新たな時代に更新し続ける大谷翔平は、2024年の締め括りとなるMVPの発表を現地時間の11月21日に控えている。大谷はロサンゼルス・エンゼルス時代の2021、23年にも満票でMVPを受賞しているが、昨年末に右ヒジを手術したため、指名打者に専念した今季の受賞は難しいと見られていた。MVPはあくまで走攻守にわたる活躍を評価するものであり、どんなに高い数字を残しても打撃のみの選手が選ばれた例は過去には一度もないからだ。ところが、大谷は守備につかない代わりにアグレッシブな走塁に徹し、前人未到の50-50(50本塁打50盗塁)を達成してしまう。さらに、この働きがロサンゼルス・ドジャースのナ・リーグ西地区優勝にも結びつき、ニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジとともに、2024年シーズンのMVP最有力候補と評されている。さらに、発表が間近に迫ると、受賞は当然であり、興味の対象は3度目の満票になるかどうかだという。さて、大谷のMVPは……。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
MVPを選出するのは、全米野球記者協会に所属する記者である。チーム本拠地の都市から2名ずつが投票。両リーグとも30名の投票結果による。
現地時間の11月11日、両リーグMVP最終候補の3名が発表され、大谷も名を連ねた。残る二人は、打率.273、33本塁打91打点をマークしたフランシスコ・リンドーア遊撃手(ニューヨーク・メッツ)と打率.292、36本塁打95打点を挙げたケテル・マルテ二塁手(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)だ。どちらも素晴らしい選手であり、「今季のメッツの成功にリンドーアがどれだけ重要だったかを考えると、彼は大谷よりもMVPに値する。大谷はダグアウトに座り、打席を待っていた」と評する記者もいる。
10月26日には、MLB選手会が選手間投票による今季の各賞を発表し、大谷はナ・リーグ最優秀野手に選ばれた。だが、年間最優秀選手『プレーヤー・オブ・ジ・イヤー』にはジャッジがア・リーグ最優秀野手とともに選ばれ、大谷の3年ぶりの受賞はならなかった。そこで、「やはりDHではMVPに選出されないのか」という空気も流れたが、大谷が成し遂げた50-50、アグレッシブなプレーがチームに与えたプラスアルファはやはり最高の評価を得ていると見られている。
実はMVPの投票はレギュラー・シーズンの終了後、ポスト・シーズン開始前に行なわれており、ポスト・シーズンの大谷が目立つ数字を残せなかったこと、リンドーアのメッツが快進撃を見せたことなどは考慮されていない。
大谷がMVPなら、1961年にシンシナティ・レッズ、1966年にはボルチモア・オリオールズで選出されたフランク・ロビンソン以来、史上2人目となる両リーグでの受賞。そして、指名打者では史上初。また歴史の扉が開かれるか。