防御率2点台の「最多敗投手」たち。リーグ2位の防御率にもかかわらず、13敗を喫して白星は一桁の投手も
昨シーズン、阪神タイガースの青柳晃洋と北海道日本ハムファイターズの有原航平(現テキサス・レンジャーズ)は、それぞれのリーグで最多の9敗を喫した。青柳は7勝、有原は8勝。どちらも、白星よりも黒星が多かった。
彼らを含め、21世紀(2001~20年)の最多敗投手は、延べ54人を数える。最も多いのは、3度の能見篤史(現オリックス・バファローズ)。2017年の13敗(10勝)に続いて2度目の有原は、福原忍、大竹寛(現・読売ジャイアンツ)、ライアン・グリン、三浦大輔、西勇輝(現・阪神)と並ぶ。能見は2014年から3年連続、福原とグリンは2年連続。2004~05年と2008~09年だ。能見と福原はいずれも阪神で最多敗投手となったが、グリンは球団もリーグも違った。2008年は北海道日本ハムでパ・リーグ最多の14敗(7勝)、2009年は横浜ベイスターズでセ・リーグ最多の15敗(3勝)を記録した。
この54人中、72.2%の39人は、防御率3.50以上だった。防御率4.00以上に限っても21人。全体の3分の1以上(38.9%)を占める。
一方、防御率2点台の最多敗投手も、5人(9.3%)いる。彼らのうち、2012年の岸孝之(現・東北楽天ゴールデンイーグルス)と2011年の武田勝は、ともに2.50未満の防御率、2.45と2.46を記録し、在籍球団は勝ち越したにもかかわらず、どちらもパ・リーグ最多――武田は最多タイ――の12敗(11勝)を喫した。2001年の井川慶は、セ・リーグ2位の防御率2.67で最多タイの13敗(9勝)。この年の阪神で一桁白星&二桁黒星は井川だけでなく、同じく最多敗のグレッグ・ハンセル(5勝13敗)に加え、バディ・カーライル(7勝10敗)と福原忍(9勝12敗)もそうだった。
また、21世紀の最多敗投手のなかで、2001年の井川に次いで防御率のリーグ順位が高かったのは、2001年に15敗の松坂大輔(現・埼玉西武ライオンズ)と2020年に9敗の有原だ。2人とも、パ・リーグ3位。有原の防御率3.46は規定投球回に到達した8人中3位で、1位の千賀滉大(福岡ソフトバンクホークス)とは1.30の差があったが、松坂の防御率3.60は13人中3位。ネイサン・ミンチーとの差は0.34しかなかった。この年の松坂は、15勝や240.1イニング、奪三振214や与四球117なども、リーグで最も多かった。ちなみに、ミンチーも黒星は多く、12勝14敗と負け越した。
なお、21世紀に入ってから、最多敗投手が出ているのは11球団だ。福岡ソフトバンクは、福岡ダイエーホークス時代の1996年に工藤公康がリーグ最多タイの15敗(8勝)を喫したのが最後。2001~04年の大阪近鉄バファローズに、最多敗投手はいなかった。