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大相撲9月場所「ちゃんこ弁当」新発売「力士弁当」復活! 力士の普段食やこだわりグルメを手軽に味わって

飯塚さきスポーツライター/相撲ライター
芝田山親方と高崎親方監修の駅弁「ちゃんこ弁当」2種(写真:すべて筆者撮影)

大相撲9月場所は本日3日目。連日札止めの大盛況の裏には、さまざまなファンサービスが隠れている。今場所特に注目を集めているのが、館内でも楽しめるさまざまな「お弁当」。筆者も実食しながら、商品開発に携わる高崎親方(元幕内・金開山)に、お弁当開発の裏側をお話しいただいた。

駅弁とコラボした「ちゃんこ弁当」

今場所から新発売のお弁当は、なんと駅弁とコラボした「ちゃんこ弁当」だ。左上には駅弁の公式マークがつけられており、東京駅の駅弁専門店「祭」をはじめ、関西地方を中心とした各百貨店などで、今場所初日から販売が開始された。種類は「元祖鶏ちゃんこ弁当」と「元祖牛ちゃんこ弁当」の2種類。それぞれが「関取編」「親方編」と名付けられている。

駅弁「ちゃんこ弁当」のパッケージ。左上には駅弁のマークが
駅弁「ちゃんこ弁当」のパッケージ。左上には駅弁のマークが

本場所や巡業などで全国各地を回る力士たちにとって、駅弁は身近なもの。そこで、高崎親方は相撲にまつわる駅弁が作れないかと、製造社である淡路屋から提案を受けたという。

「僕らは最初、幕の内弁当のようなものを想像していたんですが、一般的に相撲といえばやはりちゃんこのイメージだということで、ご飯の上に具材をのせたものを作ってみてもらいました。その上で、ちゃんこはやっぱりあったかいほうがいいよねということになり、加熱式のお弁当になったんです」

仙台の「牛たん弁当」に代表されるように、紐を引くと下に敷かれた生石灰と水が化学反応を起こし、熱が発生して具材を温めることができる仕組み。実際にやってみると、すぐに湯気が出て容器全体が熱くなり、ほんの5分ほどで温かいちゃんこが楽しめるようになった。

「自分は正直、これまではお弁当って冷たいほうがおいしいと思っていたんです。お弁当は、温めると漬物とかまであったまってしまうのが好きになれなくて。でも、これを試食したとき、初めて弁当はあったかいほうがうまいなって思いました(笑)」

監修に携わった高崎親方。完成品の味にも大満足だった
監修に携わった高崎親方。完成品の味にも大満足だった

親方はそんな話をしながら数分でペロリ。一方、まだしばらくモグモグ口を動かしている筆者に向かって、監修の裏話をしてくれた。

「鶏は2本足で歩いて手をつかないから縁起がいいという理由で、力士は鶏肉をよく食べるので、まずは『関取編』として鶏ちゃんこ。でも、もうひとひねりほしいということで、関取より偉い『親方編』は、豪華な牛肉にしようということになりました。神戸の会社である淡路屋さんは、もともと牛すき弁当が得意だったのもあります」

たしかに、「親方編」のやわらかい牛肉は食べやすく、ネギににんじん、玉ねぎ、しらたきなどと実に具だくさん。全体的に甘いたれがご飯にまで染み込んでいて、隅から隅まで味わいつくすことができる。

ちなみに、タイトルロゴは行司の木村千鷲によるもの。さらに、パッケージの横に記載されている商品説明は、高崎親方自らが書いたものだそう。お買い上げの際は、味はもちろん、パッケージの細部までチェックしてみてほしい。

高崎親方が書いた商品説明。商品のバックグラウンドやストーリーを大切にしている
高崎親方が書いた商品説明。商品のバックグラウンドやストーリーを大切にしている

新発売の「霧島弁当」その衝撃の中身とは

横綱・大関だけが作れる「力士弁当」にも注目した。これは、各横綱・大関が自分の好物や地元のゆかりある食材などを入れてプロデュースするもので、例えば照ノ富士弁当には、牛カルビ焼肉にから揚げと春巻きなどが添えられている。肉好きな横綱のチョイスに、四股名の下の名前「春雄」にちなんで春巻きを入れたそう。過去には、白鵬弁当や鶴竜弁当、豪栄道弁当、高安弁当などが存在していた。

しかし、コロナをきっかけに約2年半は販売が中止され、その間に大関になった正代や御嶽海の弁当は、残念ながら売られることがなかった。そんななか力士弁当が復活し、今場所から満を持して「霧島弁当」が新発売。早速中身を見てみると…

霧島弁当の中身は、インパクト大の焼肉とポテトグラタン
霧島弁当の中身は、インパクト大の焼肉とポテトグラタン

なんと「牛カルビ」と「ポテサラチーズ焼き」がどどんと鎮座。品数の多い、いわゆる幕の内弁当をイメージした従来の力士弁当とは異なり、見た目のインパクトが強烈である。とにかく肉が大好き!と言う霧島関本人たっての希望をそのままかなえた内容になったのだそう。

食べてみると、肉の下には同じジンギスカン風味の甘辛だれが絡んだ野菜炒めがぎっしり詰まっており、チーズ焼きのポテトはゴロゴロと存在感たっぷり。これだけで大満足できる内容だった。

パッケージは霧島の写真にさわやかな青
パッケージは霧島の写真にさわやかな青

国技館内は、ここで紹介したもの以外にも多くのグルメであふれており、観戦だけでなく食事を楽しみにしているファンも多いことだろう。館内で楽しむのはもちろん、持ち帰って家庭の夕飯にしてもよし。ぜひここでしか味わえない大相撲グルメを堪能していただきたい。ちなみに、順調にいけば初場所には「豊昇龍弁当」ができ上がるというので、これもまた楽しみである。

スポーツライター/相撲ライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライター・相撲ライターとして『相撲』(同社)、『Number Web』(文藝春秋)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書に『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』。

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