間もなくゴング!元暫定ヘビー級チャンプの復帰ロード
元WBO暫定ヘビー級チャンピオンのジョー・ジョイス(38)が、今日、故郷であるロンドンのリングに上がる。
2022年9月24日に同タイトルを獲得したジョイスは、初防衛戦で張志磊にKO負けし、王座から転落した。リターンマッチでも第3ラウンドにノックアウトされる。
リオ五輪スーパーヘビー級の銀メダリストとして鳴り物入りでプロに転向したジョイスだが、アジア人初のヘビー級チャンピオン誕生の折、斬られ役となってしまったのだ。今年の3月にセットされた再起戦で白星を挙げ、今日を迎える。
WBC8位、IBF10位、WBO14位と世界ランキングに踏み止まっているジョイスだが、トップ戦線からは当然のことながら後退した。そして、今回の対戦相手は34勝23KO13敗の、デリック・チゾラ(40)。戦績が示すように、まったくの咬ませ犬である。
前日計量で、ジョイスは281.2パウンド、チゾラは256.7パウンドであった。
元WBO暫定ヘビー級王者は言った。
「このファイトは、戦争のようになるだろう。我々は、勝者が何を得るのか理解している。彼は素晴らしいキャリアを積んできたが、私はそれを終わらせる。私は離れて戦おうとは思わないし、彼も接近戦を望むだろう。
今回は、10回戦であり、12ラウンド戦うわけではないが、次に繋げたいね。私は先に進むんだ」
1985年9月にロンドンで生まれたジョー・ジョイスは、2歳から水泳、5歳からラグビーを始めて好成績を収めた。ボクシングのスタートは20代前半と、遅い出会いだった。元WBCヘビー級王者で、英国で人気を誇ったフランク・ブルーノと同じジムに通った。ジョイスは、アマチュア時代から英国の期待を背負い、2017年にプロに転向した。
ジョイスの母は幼い頃に事故で視力を失い、長男だったジョイスは、介護者の役割も果たした。母親が一人で出かける場合は、スーパーマーケットの配置を覚えさせ、近付いてくるバスの番号を教えた。共に外出する際には、標識を読むのを手伝ったり、電車の降りるタイミングを把握させたりと、献身的に支える。彼は母を放っておくことが、どうしても出来なかった。
ジョイスは、過去を振り返る。
「それがつらいとは感じなかった。私はいつも母親の立場に立って、目が見えない暮らしがどれほど難しいかを想像した。とはいえ、一緒にゲームをしたり、実際の到着はまだなのに『ほらママ、バスが来たよ!』なんて冗談を言ったりもしたね。
10代の前半、自分が何をしたいのか分からなかった。まだ自分が何者なのか、世界のどこに溶け込んでいるのか理解できなかったんだ。だから、トランペットを吹き、ラグビーをし、空手やキックボクシング、カンフー、陸上競技と様々な挑戦をした。18歳の私は、酒を飲み、喫煙していた。バスを捕まえようと走ると、息が切れてしまった。そこで、ジムに通うことにしたんだ。ジムで働いていたキューバ人トレーナーに手解きを受け、ボクサーとしての自分を磨いてきた」
苦節20年、ジョイスは花を咲かせられるか。