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間も無くゴング! IBFスーパーウエルター級タイトルマッチ

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Joseph Correa/Premier Boxing Champions

 間も無くIBFスーパーウエルター級タイトルマッチ、チャンピオン、バフラム・ムルタザリエフvs.挑戦者ティム・チュー戦のゴングがなる。

 前日計量をムルタザリエフは152.8パウンド、チューは153.4パウンドでパスした。最終記者会見での両者の言葉をお伝えしよう。

Joseph Correa/Premier Boxing Champions
Joseph Correa/Premier Boxing Champions

 まずは、22戦全勝16KOのチャンピオン。2024年4月6日に王座に就いたムルタザリエフにとって、今日は初防衛戦である。

 「私は、ティムの足跡に全く興味がありません。ただ、試合のために準備してきました。見る人に素晴らしいファイトをお届けしますよ。世界チャンピオンになるという夢は成し遂げましたが、今はチュー戦に集中するのみ。過去は振り返りません。自分のゴールは、154パウンドのタイトルを統一することです。

 私は誰からも決して逃げないタイプです。誰もが、バフラム・ムルタザリエフがどこにいるかを知っていますよね。対戦のオファーを出すのに時間はいらないんです。他者からどんな視線を浴びせられたって、どうでもいいです。この試合後に全てが分かるでしょう。とにかく全力で試合に向かうだけです」

Joseph Correa/Premier Boxing Champions
Joseph Correa/Premier Boxing Champions

 そして24(17KO)1敗のチャレンジャーで、前WBO同級王者の発言は以下だ。

 「幼い頃から、夢に向かって歩を進めてきた。そのために激しい練習を重ねた。このファイトは単なる一試合ではなく、復讐の意味が含まれたカムバックだ。154パウンド最高の男が自分であると確信している。それを証明しなければ。一人ずつ、片付けていく。チャンピオン全員と戦いたい。実際、恐れるに足らない連中だよ。

 自分はいつだって、その時点で最も大きく、厳しいチャレンジをしてきた。今回の試合を決めるのは簡単な作業だった。彼を追いかけてきたからね。ムルタザリエフは、自分のポジションを守るよりも、カネを稼ぎたかったんだろう。リングで、彼は予想外のことに直面する筈だ。

 先日初めての敗北を経験し地獄に落とされたが、リングを離れる気はなかった。これは、マジで復讐なんだ。チュー家の名は 史上最高のボクシングファミリーとして刻まれるだろう」

Joseph Correa/Premier Boxing Champions
Joseph Correa/Premier Boxing Champions

 2024年3月30日、チューはWBO王座から陥落した。試合直前に急遽挑戦者が変更になり、第2ラウンド終盤に対戦相手の左肘が頭部に当たり、夥しい出血に見舞われるという不運が重なった。チューは流血で視界を奪われ、1-2の判定で敗れた。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/d352d16f2643a7f19cad07833ab06719c8e87bfd

Joseph Correa/Premier Boxing Champions
Joseph Correa/Premier Boxing Champions

 チューは「復讐」と共に「Bogeyman」なる言葉を用いている。ボギーマンとは、考えや行動が一部の人々に認められず周囲を怖がらせるため、邪悪または不愉快だとされるタイプのことだ。

プロモーターはあくまでもチューを主役、ムルタザリエフを「踏み台」と扱っているが、ボギーマンがどのような戦いをするかに注目だ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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