デビュー以来13連勝を飾ったバンタム級
デビュー以来、12連勝中(3KO)のバンタム級ファイター、フロイド・ディアズ(21)と、12勝(4KO)4敗1分のマリオ・エルナンデス(33)の8回戦は、ジャブの差し合いが続く緊迫感のあるファイトとなった。
無論、興行主であるTop Rankは、負け知らずの21歳を「期待の新星」として売り出したい。が、33歳のメキシカンもしっかりした技術と闘志で、若手を迎え撃った。3ラウンド、エルナンデスは粘り強く圧をかけ、何発もボディショットを放って、流れを引き寄せる。ベテランならではのしぶとさで、若者のお株を奪う。決して下がらない気の強さが目を引いた。
しかし、第5ラウンド1分29 秒、ニュートラルコーナーを背にしたディアズが放ったカウンターの右アッパーが、エルナンデスの顎を捉え、メキシカンはダウン。形勢が逆転する。
以降のエルナンデスは膝が伸び、パンチに体重が乗らなくなる。ディアズの右ストレートや左フックを複数回浴びた。
その後もエルナンデスは必死で喰らいつくが、正確性でディアズが上回る。結局、78-73、78-73、77-74で負け知らずの若者が白星を加えた。
ディアズは幼い頃からボクシングに魅了され、フロイド・メイウェザー・ジュニアのジムでイロハを習う。父親に連れられ、初めてメイウェザー・ジムを訪れたのは5歳の時だ。当初、ほとんどのトレーナーがディアズに関心を示さなかったが、フロイド・メイウェザー・ジュニアの伯父であり、2階級で世界タイトルを奪取した故ロジャーの指導を受けるようになる。
ディアズはアマチュアの試合に出場し、12年間に210試合をこなした。家のすべての部屋を埋めるほどのトロフィーを獲得したそうだ。やがて、メイウェザー一家から、「キャッシュフロー」なるニックネームを頂戴する。
ディアズの父方の祖父母はペルーから米国に移住し、ニューヨーク、ブロンクスに居を構えた。ディアズ自身はラスベガスで生まれたが、高校からブロンクスの公立に通っている。次第にアマチュアボクシングの試合で全米中を転戦するようになり、再びラスベガスに戻った。
カウンターの右アッパーは、ロジャー・メイウェザーにコーチされたものか。記録の反面、簡単にロープに下がってしまう姿も印象に残る。“Money”メイウェザーからキャッシュフローと呼ばれた男は、リングで稼げるようになるだろうか。