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気温は階段状に低下 10月中旬から続くほぼ同じ気温は来週半ばから一段と寒くなる

饒村曜気象予報士
秋の風景(写真:イメージマート)

あまり南下しない寒気

 令和3年(2021年)は、残暑が長く、10月の中旬までは全国の約半分の地点で最高気温が25度以上の夏日を観測していました(図1)。

図1 全国の夏日と冬日の推移
図1 全国の夏日と冬日の推移

 残暑が長引いていたのです。

 しかし、10月中旬以降はやや強い寒気が南下し、10月17日には稚内、旭川、網走で初雪を平年より10日以上早く観測しています。

 長かった夏から短い秋を通り越し、早くも冬到来という感じがありました。

 その後も、寒気が周期的に南下するようになり、その度に、最低気温が0度未満という冬日の観測地点が増えますが、全国の1割くらいで止まっています。

 冬日がだんだん増えゆき、季節が進むというわけではなかったのです。

 弱いとはいえ寒気が南下しており、北海道や東北日本海側と北陸では曇りや雨、その他の地方は晴れて、日中は気温があがっています。

 北海道でも気温が平年より高く、平野部では雪ではなく雨です。

 札幌の初雪の平年は11月1日など、北海道は11月になると平野部でも雪が降りますが、多くの地方では、まだ初雪が降っていません。

 11月14日に帯広、11月16日に室蘭で初雪を観測しましたが、平年より大幅に遅れています。

 過ごしやすい小春日和が続いている地方が多いのですが、この天気は、低気圧が日本海を発達しながら通過する週明けまでは続きそうです(図2)。

図2 各地の10日間天気予報
図2 各地の10日間天気予報

 早めの大掃除など、本格的な冬前の今週の小春日和を大切に使いたいものです。

気温変化は階段状

 秋から冬に向かって気温は徐々に下がってゆくというのは、平年値での話です。

 特定の年で見ると、高くなったり低くなったりしながら下がってゆきますが、大きく見ると、階段状です。

 ある温度を挟んで高かったり低かったりしていたのが、低気圧通過をきっかけとして一段低い温度を挟んで高かったり低かったりするのです。

 図3は10月1日以降の東京の最高気温と最低気温の推移です

図3 東京の最高気温と最低気温の推移(11月17~23日は気象庁、11月24日~12月2日はウェザーマップの予報)
図3 東京の最高気温と最低気温の推移(11月17~23日は気象庁、11月24日~12月2日はウェザーマップの予報)

 これを見ると、10月中旬に気温が一段下がった後は、1か月近くも、ほぼ同じ値をは挟んで高くなったり低くなったりしています。

 このため、次第に平年並みとなり、今では平年より高い状態になっています。

 そして、次に一段下がるのが、来週半ばということを示しています(図4)。

図4 階段状の気温変化(図3に重ね合わせ)
図4 階段状の気温変化(図3に重ね合わせ)

 来週半ばには、次の強い寒気が南下してくるからです。

次に南下する強い寒気

 日本に南下してくる寒気の目安として、上空約5500メートルの気温が使われます。

 氷点下30度以下が強い寒気の目安ですが、氷点下36度以下なら非常に強い寒気で、日本海側では大雪の可能性があります。

 次に南下してくる強い寒気は、低気圧が発達しながら通過した11月23日頃に南下する寒気です。

 東北北部で氷点下30度以下、北海道では氷点下36度以下というものです(図5)。

図5 日本上空約5500メートルの気温分布(11月23日夜)
図5 日本上空約5500メートルの気温分布(11月23日夜)

 令和3年(2021年)は、夏の名残が長く続き、短い秋をへて、本格的な冬の到来ということになりそうです。

図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図2、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図3、図4の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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