ロシア軍の発射したトーチカU弾道ミサイルの不発弾の中からFAB-500T航空爆弾が発見される
8月11日、ウクライナのヘルソン州チョルノバイカ村落共同体(ヘルソン市の北西の村落)の付近で、ロシア軍の発射したトーチカU弾道ミサイルの不発弾が発見され、爆破処分されたことを地元のヘルソン警察が伝えています。
На Херсонщині вибухотехніки виявили та знешкодили російську ракету «Точка-У»
そしてなんとトーチカU弾道ミサイルの中からFAB-500T航空爆弾が出て来たのです。ロシア軍は弾道ミサイル用の弾頭として航空爆弾を流用していることが分かりました。専用の弾頭を設計していなかったのです。
キリル文字でФАБ-500Тと書かれてあります。ラテン文字に転写するとFAB-500Tです。これはロシア空軍の戦闘機用の500kg航空爆弾です。別々に見付かった物ではなく、トーチカU弾道ミサイルの中から出て来ています。
ФАБ-500Тの下に書かれている文字はТОКАФと読めます。この文字は内蔵された炸薬の種類を示しています。
FAB-500T航空爆弾の尾部のコーンと安定翼は弾道ミサイル用の弾頭としては不要なため、付いていませんでした。他の構造はそのままです。ラグ(戦闘機に装着するための金具)が付いたままですし、先端に信管が付いています。
先端に信管を付けるということは地面に着弾した瞬間に起爆する想定で、貫通を考慮していないことになります。弾道ミサイル用の弾頭としては異例です。航空爆弾を流用する場合でも貫通爆弾(BETAB-500など)を選択することも出来たのに、通常爆弾を搭載しています。なお貫通弾頭ないし貫通爆弾ならば信管は底部に装着して、着弾してから遅延で起爆します。
先端の信管は爆弾処理班がペットボトルの水を掛けながら回して外しています(動画参照)。
少し離れた位置でトーチカU弾道ミサイルの尾部が発見されています。特徴的な大きな安定翼は残っていますが、格子状の操舵翼は外れて見当たりません。