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ファッションレボリューションが止まらない。あなたの服はだれが作ってる?

伊藤和子弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ副理事長
#whomademyclothes? キャンペーン、参加しませんか?

■4月24日はファッション・レボリューション・デー。

この原稿を書いている今日4月22日ははアースデー。地球のことを考えよう、ということで、1970年に米国で始まった取組み。東京でも今日と明日、代々木公園で大きなアースデーイベントが開催されます。

そして、その翌日、4月24日はなんでしょう。ファッションレボリューションデーです。

新しく始まった、ファッション産業の仕組みを変えられないか? という国際キャンペーン・デーです。

私たちの着ている服はどこで、だれが、どんなふうにしてつくられているのだろう?子どもが泣いていたり、環境を汚染したりしていないだろうか。そんなことをひとりひとりが考え直し、エシカルなライフスタイルにつなげることでファッションを通じてファッション産業の構造を変え、地球の課題も解決していこう、そんな思いで、世界中で取り組みがされています。

■ 4月24日にバングラデシュで起きたこと。

実は、二年前にファッションレボリューションデーについて詳しく紹介させていただきました。

ファッションレボリューションデーに考える。あなたの着る服が少女たちの搾取労働で成り立っていたら・・?

2013年4月24日、バングラデシュのダッカ郊外にあった縫製工場の入っていたビル・ラナプラザ・ビルが倒壊して、その工場で働いていた1000人以上の労働者たちがなくなったのです。多くは若い女性たちでした。

明らかになったのは、彼女たちが働いていたとても危険で非人道的な労働環境。しかし、そこで作られていた製品はなんだったでしょう。 私たちがよく目にする、ベネトンのきれいなブランド製品、ZaraのブランドInditexなど、世界の名だたる有名ブランドの服だったのです。

私たちが何気なく着ている、もしくは気にいって勝っている服は、実は日本やイタリア、イギリスなどではなく、私たちの想像を超えて、遠いアジアの国に発注され、そこでは、圧倒的に多い若い女性たち、さらに少女たち、少年たちを含む現地の労働者の人たちが驚くほどの低賃金で、過酷な環境で、つくられている可能性があるのです。どうしででしょう。その方が安いから。そのほうが私たちも安い服を買うことができ、ブランドも利益を得ることができるからです。しかしそのしわよせで、だれかが不幸な思いをしているとしたらどうでしょうか。

さらにさかのぼると、服をつくる「コットン」の存在があります。農薬を使いすぎて地域に環境汚染や健康被害をもたらしていたり、児童労働によって支えられていたり、コットン農場の現実はとても深刻です。

グローバル経済がもたらした世界中に広がるサプライチェーンのどこかで苦しんでいる人たちがいる、しかし、末端で消費をし、利益を得ているのは、ほかならぬ私たちです。

そのことを私たちが知り、「何かを始めよう」「なんとかその構造を変えられないか?」と考えるところから一歩が始まります。

■ 欧米の動き

ラナプラザの悲劇を受けて、欧米では、H&M、ZARA、GAP、ベネトンなど、超有名なブランドの責任を問う消費者やメディアの声が大きくなりました。ラナプラザビルの工場に生産を委託していたブランドはまず、亡くなった方の遺族やけがをした被害者の方に公正な賠償を支払うこと。各ブランドのショップ店頭で抗議をする市民たちの運動が盛り上がり、「自分たちには関係ない」と責任を回避していたブランドも、公正とはいえませんが、賠償金の拠出を行うようになりました。

そして、各ブランドは、生産委託をすることにより、利益を得ている立場にあり、生産工場での人権侵害に対して責任がある、という意識が欧米では浸透しました。2011年に国連人権理事会では、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択され、企業は生産調達・サプライチェーンにさかのぼって人権に配慮する責任がある、ビジネスを通して発生した人権へのマイナスの影響に対応すべきだ、ということが明確に宣言されたのもきっかけとなりました。

これを受けて、

1 生産工場を公開する(サプライヤーリストの開示)、

2 児童労働をしない、公正な賃金を支払う、長時間残業をさせない、労組の自由を認める、などの基本的人権尊重を約束した工場にしか発注しない(コード・オブ・コンダクトの締結)、

3 定期的に監査を行う。

4 監査結果を公表し、消費者、社会への説明責任を果たす

5 最低賃金でなく、生存を確保できるような「生活賃金」を保障する

6 安全で搾取的でないコットンを使う

といった取り組みが進んでいます。最初は消費者や市民団体の突き上げで、半ばいやいややっていたかに見えた企業が多かった印象がありますが、今では、自社の方針として率先して「地球によいこと」「人権保障」「持続可能性」などを掲げ、公正なビジネスで生産者も含めてハッピーにしている、地球にやさしいソリューションを実現する、というよき価値(バリュー)を大切なブランド価値として積極的に売り出し、他社との差別化をはかり、成功している企業があります。

それでも市民団体や消費者からは、「宣伝文句だけでなく、本当にやっているのか?」と厳しいチェックが入る、それが現状です。

■ 日本でも変化が起きようとしている?

日本では、2015年にヒューマンライツ・ナウとSACOMが展開したユニクロ・キャンペーンで、ユニクロの中国、カンボジアなどの委託先工場でも、深刻な労働環境の問題があることが明らかにされました。

ユニクロの親会社であるファーストリテイリングは、改善のアクションを打ち出しましたが、それでもその内容は、欧米のグローバル・ブランドの対策に比べて不十分なものであったため、その後も様々な問題が発生し、2016年秋にはカンボジアにおける労働者(労働組合員)の大量解雇の問題で、主要発注元であるユニクロが結社の自由を尊重したイニシアティブをとっていないとして、欧州のキャンペーン団体Clean Cloth Campaign(CCC)を巻き込んだキャンペーンが開始されました。

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世界各地で店頭アクションが予定されていたこともあってか、アクションの開始からまもなく、労働者の復職が実現し、紛争が全面解決するにいたりました。

2017年2月には、ユニクロが主要生産工場のリストを開示する、という、サプライチェーン透明化の第一歩を踏み出しました。これは日本では他のブランドに先駆けた動きであり、工場を公開することで、社会的な監視の目を光らせることもできるし、そこで問題が起きた時にブランドが他人のふりをすることができなくなります。

他のブランドもこれにならってくれることを期待してやみません。

とはいえ、これは公正な労働環境を実現するための第一歩。私たちは引き続き改善を求めています。

ユニクロ:主要取引先工場リスト の公開を歓迎し、一層のコンプライアンス推進を期待する。

■ 日本でも消費者・社会の動きを元気にしたい。

こうしたなか、日本の消費者の動向が世界的にも注目されています。

品質にも流行にもとても敏感な、日本のファッショニスタたちが、「この服はどこで、だれがつくっている」「自分たちにできることはなんだろう」と考え、品質と併せて人権配慮やコンプライアンスにも敏感になってくれれば、ファッション産業の構造も、地球規模の課題も解決するのに大きな影響を与えることができます。

そんななか、日本でも新しい素敵な動きが始まっています。2015年くらいから、ファッションレボリューションデーのイベントが開催されるようになり、今年も企画があります。飽きっぽいと言われがちな日本でもこうした取り組みが定着しつつあることはとても心強いことです。しかも、ファッションの中心地原宿を起点に、セレブを巻き込んで、という本格的な取り組みになりつつあります。

ご案内をいただいたのがこちらです。

【世界初!原宿の"街"をひっくり返せ!】4/22(土)映画上映&トークショー #whomademyclothes?

https://www.facebook.com/events/263199424140355/

「これからのファッション」をテーマにした映画&トークショー

低価格・合理性を追求するあまり、2013年4月24日にバングラデシュの衣料品工場ラナ・プラザで崩壊事故が起き1,100人以上の労働者が亡くなりました。

このようなことが二度と起きないようにロンドン発の国際的なムーブメント、ファッションレボリューションウィークでは自分の洋服の生産背景を考えるきっかけを提供しており、2016年は述べ90カ国参加人数7万人以上が参加しました。

洋服を裏返しタグの写真を撮影し、その服のブランド名と「#whomademyclothes」(私の服は誰が作っているの?)というハッシュタグを添えSNSで投稿を行うというシンプルな運動です。

※SNS投稿 参加著名人(日本国内)4月10日現在

伊勢谷友介/鎌田安里紗/今井華/田中里奈/鈴木あや/斎藤夏海/赤澤える/伊郷レナ/ 安井レイ/サンドバーグ直美/四角大輔/高岩遼(SANABAGUN)/遠藤栄理香/曽原義智/青山あみ/末吉里花/小野りりあん/松島エミ/alexaluczack/伊藤ニーナ/呂敏/吉木ちさと etc...

是非、セレブとともに、みなさんも参加されてはいかがでしょう?

この「ファッションレボリューション」のキックオフイベントと、映画「トゥルーコスト」の上映会が、多彩なゲストを招いて、本日開催されるそうです。

▼ファッションレボリューション

会場:田中千代ファッションカレッジ(渋谷・原宿駅から徒歩8分)

日程:2017年4月22日(土)13:30~17:30

主催:一般社団法人エシカルタウン原宿

私たちヒューマンライツ・ナウも、本日と明日、代々木公園でアースデーに出店、ファッションレボリューションデーにちなんで、「悲しみでつくられる服は着たくない」等のメッセージボードで皆さんと一緒に写真を撮影していただく、フォトアクションキャンペーンを展開します。

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是非、お立ち寄りいただき、フォトアクションに参加してください。

また、吉祥寺の街でも、5月4日に開催される吉祥寺コレクションに連動し、吉コレ参加デザイナーの鶴田能史さん、吉田美子さんとともに考えるファッションレボリューションデーイベントが開催されます。

まずは、「知る」ことから見えてくることがあります。是非参加してみてください。

弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ副理事長

1994年に弁護士登録。女性、子どもの権利、えん罪事件など、人権問題に関わって活動。米国留学後の2006年、国境を越えて世界の人権問題に取り組む日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウを立ち上げ、事務局長として国内外で現在進行形の人権侵害の解決を求めて活動中。同時に、弁護士として、女性をはじめ、権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために日々活動している。ミモザの森法律事務所(東京)代表。

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