山茶花梅雨は雨だけでなく気温に注意
山茶花(サザンカ)は、ツバキ科の常緑樹で、花の少ない晩秋から冬にかけて赤く咲くため、古くから庭木や生垣として利用されてきました。
一年中ある梅雨という言葉
二十四節気七十二候では、立冬から小雪までの15日間を5日毎にわけ、初候(11月8日から12日)で山茶始開(つばきはじめてひらく)、次候(13~17日)で地始凍(ちはじめてこおる)、末候(18~22日)で金盞香(きんせんかさく)となっています。このころ(晩秋から初冬にかけて)降る長雨が、「山茶花梅雨」です。
このほか、梅雨に入る前に降る長雨は「走り梅雨」とか「前梅雨」とか「迎え梅雨」と呼び、その時に咲いている植物や収穫する作物から「菜種梅雨」とか「筍梅雨」などとも呼びます。
梅雨がない北海道でも、年によっては2週間くらい「リラ冷え」と呼ばれる肌寒い天気が続くことがあり、これを「蝦夷梅雨」と呼びます。
梅雨明け後に、持続的な悪天が現れると「戻り梅雨」とか「残り梅雨」とか「帰り梅雨」です。また、初秋の時の長雨が「すすき梅雨」です。
このように、「梅雨」という言葉は、ほぼ1年にわたって使われています。
梅雨期間中のいろいろな梅雨の呼び方
梅雨期間でも、強い雨が降ったり晴天となったり変化が激しい梅雨を「陽性梅雨」、あまり強い雨にならなくても曇や雨の日が続くと「陰性梅雨」となります。
昔は、「陽性梅雨」を「男梅雨」、「陰性梅雨」を「女梅雨」と言っていましたが、男女のイメージが変わってきている昨今では、使われていません。
雨が多く集中豪雨により大きな被害を出すときは「暴れ梅雨」とか「荒れ梅雨」といいます。最近では、毎年のように暴れ梅雨となり、大きな被害が発生しています。
逆に、雨日数や降水量が少ないと「空梅雨(からつゆ)」です。「照り梅雨」、「枯れ梅雨」、「日照り(旱)梅雨」ともいいます。
灌漑施設が不十分だった古代の日本では大きな問題でした。また、梅雨期間中に低温が続くときは「梅雨寒む」、木々の青葉を一層あざやかにする雨を「青梅雨」です。
山茶花梅雨は雨だけでなく気温にも注意
このように、多種多様な梅雨という言葉は、梅雨が日本人にとって大切な米作と関係がある現象であることから、昔から梅雨が大きな関心事であることの反映です。
梅雨と名前がつく現象の多くは、降り過ぎる、あるいは降らなすぎる雨に対する警戒が必要ですが、山茶花梅雨は梅雨寒と同様、気温にも注意が必要な言葉です。
春のような温かい日(小春日和)と、山茶花梅雨のように寒い日が繰り返され、本格的な冬に向かいます(図)。
週末は雨の予報です。山茶花梅雨のようになるかはわかりませんが、寒気が入って気温が低くなります。寒暖の大きな差に対する体調変化に注意する必要があります。