栗の美味しさを二つの形で「菊薫る&里の秋」で楽しむ九段下の老舗和菓子屋さんで迎えた小さな秋
東京へ観光に赴く理由は星の数ほどありますが、ベスト5に入るであろう理由の一つに「コンサート(ライブ)」があがるかと思われます。多数のアーティストが夢見る音楽の聖地、日本武道館。その日本武道館の最寄り駅でもある九段下駅から徒歩10分程のお店が本日の和菓子屋さん。
東京メトロ半蔵門線&都営新宿線という、オフィス街からお洒落カフェエリアまで通り抜ける路線が交錯する九段下駅から、日本武道館の屋根を仰ぎつつ千鳥ヶ淵緑道の青々しい緑に目を奪われつつ、春には満開の桜にうっとりしていたことを回想。そこから靖国神社の前に差し掛かったあたりにて暖簾を掲げるのが、明治元年に同地で産声を上げた老舗和菓子屋「寶来屋(以降、宝来屋)」さん。ご進物から毎日のおやつまで揃うお店には、四季ごとの見どころをきゅっと凝縮した愛らしい上生菓子も豊富に揃います。今回は、一見しただけではわからないのですが、秋の味覚を使用した「菊薫る」と「里の秋」をご紹介。
菊薫るに惹かれたのは、まぎれもなくこの鮮やかなのに繊細な花びらの変化。一色ではなく、内側から外側にかけてのグラデーション。しかもそれは白い練り切り餡から透かしているのではなく、上に施しているというのも天晴。ややぽってりと練り上げられた練り切り餡は本当に優しい優しい甘味。
九段下駅をえっさほいさと昇った体に染みていきます。中は栗餡なのですが、細かく刻まれた栗の甘露煮が食感に表情をつけています。
里の秋の堂々たるこの佇まい。腰高でどっしりとしたフォルムなのに、仄かに青みを帯びた上用饅頭の皮、そして散りばめられた黒胡麻とススキや満月の焼き印。あえて黒胡麻を加えることにより、風味や味わいだけではなくどこかより自然といいますか素朴な雰囲気が増すような気がします。こし餡を纏った丸ごと一粒の大きな栗はほくほくとしており、あぁ秋だなぁという滋味深さと贅沢感に思わず頷いてしまうほど。食べ応え満点のお饅頭です。
日本武道館や靖国神社、更には北の丸公園など観光の主要目的地だけを訪れるだけではなく、その周りに点在するその土地ならではの老舗も、観光コースに組み込んでみてはいかがでしょうか。
<宝来屋本店>
公式サイト(外部リンク)
東京都千代田区九段南2-4-15
03-3261-4612
平日 9時~18時
土曜 10時~16時
日・祝 定休日(節句やお彼岸中日は営業)