経産省が“プレミアムフライデー”を辞めたくても辞められない理由
経産省が昨年にスタートさせたプレミアムフライデーですが、調査によれば3%しか導入が進んでおらず、完全に企画倒れと言うべき状況です。※
にもかかわらず、2月にはプレ金一周年記念イベントまで行われるそうで、経産省は上げた旗を降ろすつもりは当面なさそうです。
なぜ、経産省はプレ金の推進に固執するのでしょうか。そこには日本型組織特有の典型的な体質がみて取れます。
年功序列組織は戦略の転換が大の苦手
大手の日本企業同様、経産省も入省年次であらかたのポストが決める年功序列制度を厳守し続ける組織です。若手が10人抜きで局長になったり、逆に失敗をした偉い人がヒラに降格されたりなんてことはまずありえません。年功をきちんと積み重ねた人が一歩ずつ階段を上るように出世していくことになります。
こういう組織では、過去に行われたプロジェクトの失敗を正面から認めるのがとても難しいという特徴があります。なぜか。その失敗プロジェクトを推進した責任者が今も偉いポジションにいるか、さらに偉くなっているためです。5年も経っているなら責任者自体は退職している可能性もありますが、一緒にハンコを押した役職者はまだまだ在籍中でしょう。
余談ですが、日本型組織内では、何度も会議をし複数の役職者が押印しないと物事が進まないものですが、あれには責任の所在を明確な個人ではなく複数の部署に拡大してしまうメリット(?)があり、組織が方針変更しづらい一因となっています。
というわけで、日本型組織では「誰が見ても失敗は明らかなのにグダグダ続いているプロジェクト」「絶対黒字化なんてしなさそうなのに毎年赤字垂れ流している事業」が珍しくありません。
古くは旧日本軍がそうですが、近年も、長年の誤報問題を30年近く経ってようやく認めた新聞社がありました。問題を起こした“偉い人”が在籍している間は「間違っていたので謝ります」と言えないのが理由でしょう。
とはいえ経産省の偉い人たちはたいてい数年で出向したり異動になるものなので、プレミアムフライデーについてはせいぜいあと2年くらいの寿命だと筆者は予想しています。もちろん総括なんてことは抜きに、自然消滅的に「無かったこと」にされるはずです。
※ニッセイ基礎研究所 「家計消費と生活不安に関する調査」より