40代だけ給与が下がった理由
内閣府の行った正社員の賃金に関する調査で「40代だけ賃金水準が下がっている」という事実が明らかとなり、波紋を呼んでいます。この調査は5年前の40代と比較した結果なので、より正確には「40代だけ5年前と比べて賃金が伸びていない」ということです。
【参考リンク】正社員給与、40代だけ減少=昇進遅れが背景-5年前と比較
理由は、低成長で課長、部長といったポストが慢性的に不足する中、すぐ上に採用数の多いバブル世代が滞留しているため昇進が目詰まりしていることが原因でしょう。
では、これから現40代=就職氷河期世代の賃金は、5年後、10年後には回復するのでしょうか。残念ながら現在の日本企業は組織の若返りを重視するため、45歳以降で管理職ポストに抜擢するケースは稀でしょう。
たとえば、今から5年後に、空きの出た課長ポストに、苦労人の氷河期世代50歳を抜擢するよりも、新進気鋭の35~45歳あたりの世代を無難に登用するでしょう。
恐らく、今後同種の調査を行うたび、「今度は50代が下がりました、いわゆる就職氷河期世代です」的なニュースは一種の風物詩のように続いていくことになると筆者はみています。
年代によって処遇にギャップが生じるという弊害は日本型雇用を続ける以上はいたしかたないのですが、気がかりなのは経済との関係です。現40代は団塊世代以降ではもっともボリュームのある団塊ジュニア層とかぶります。彼らの処遇改善が進まず、消費性向も冷え込んだままの状態が続けば、ひいては日本経済全体にも負の影響を長く与え続けるでしょう。