日本が開発した再使用ロケット「RVT-9」見た目はおにぎりだが、新たな宇宙時代を切り開く最先端技術
皆さんはかつて日本が「RVT」という小さな再使用ロケットを開発していたことをご存知でしょうか。本記事では、新たな宇宙市場を切り開く「再使用ロケット」の重要性、そしてその開発の軌跡をご紹介します。
■ロケットを再使用する利点とは?
もしロケットを旅客機と同様に繰り返し再使用できれば、打ち上げコストを劇的に下げることができます。一方で、スペースシャトルは40年も前に実用化され、地球と宇宙を何度も行き来していましたが、コストが見合わないため2011年で退役しています。実は、大気圏再突入時に3000度の高温にさらされるため、高い耐熱技術を要し、そのメンテナンスに莫大な費用がかかっていたのです。これがスペースシャトルが惜しまれながらも退役となった要因の一つです。
そこで、SpaceXなどの最先端を進む宇宙企業は、ロケットの第1段エンジンとタンクのみを再使用しているのです。つまり、宇宙には到達せず、大気圏に再突入していない部分のみ再使用しているということです。これにより大気圏突入時の高温対策が必要なく、メンテナンス費を大幅に削減することができたのです。
■日本が開発した再使用ロケット
実は日本でも1998年から再使用ロケットの研究が進められていました。その名も「RVT(Reusable Vehicle Testing)」2007年までにかけて複数回、垂直に離陸して地面に着陸するという飛行実験を行っています。当初の飛行試験ではほんの数mだけ上昇し、横に数m移動する程度の性能でした。
そして、2003年には9番目の試験シリーズ「RVT-9」が開発され、飛行試験が実施されています。RVT-9は高度42mまで上昇し、安全に着陸することに成功しました。RVT-9の機体は見たことがある方も多いのではないでしょうか。まるでおにぎりのような親しみやすい形状をしていますよね。ちなみにこちらのRVT-9、現在は神奈川県相模原市のJAXA宇宙科学研究所で実機を見学することもできますので、ご興味のある方は是非お越しください。
そして、RVTシリーズで培われた再使用ロケットの技術は、現代の1段再使用飛行実験「CALLISTO(カリスト)」プロジェクトへと脈々と受け継がれているのです。カリストの打ち上げは20205年後半以降と見られており、飛行試験が今から楽しみですね。
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