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サーファーのため、中庭に温水シャワーとボード置き場を設置。遊び心あふれるマンションが人気

櫻井幸雄住宅評論家
夏の青空に映える白い外観のマンションが「レ・ジェイド辻堂東海岸」だ。筆者撮影

 日本エスコンの「レ・ジェイド辻堂東海岸」は今年3月に建物が完成し、一部住戸が販売中となっているマンションだ。

 建設地は、小田急江ノ島線の鵠沼海岸駅から徒歩17分。JR東海道線辻堂駅へはバス9分徒歩3分となり、駅に近いマンションではない。一方で、湘南の海岸から歩いて4分となり、周囲は一戸建て住宅地だ。

 もともとは避暑・避寒の別荘地として昭和初期から発達した住宅街なので、広い敷地にゆったりと建つ一戸建てが多い。その中に完成した同マンションも、低層3階建てで、敷地の6割はオープンスペース。ゆったりとしたマンションになっている。

 その広いオープンスペースと立地特性(海に近い)を生かすため、同マンションには、サーフィンを楽しむための特別な工夫が凝らされる。

 たとえば、居住者以外立ち入ることができない中庭に温水シャワーが4つ用意され、全戸分のサーフボード置き場も設置。全戸分の平置き駐車場も完備する。

中庭に設置された4つの温水シャワー。手前にある2つの低位置シャワーはペットの足洗い用。サーフボードの砂を落とす用途でも使えそうだ。筆者撮影
中庭に設置された4つの温水シャワー。手前にある2つの低位置シャワーはペットの足洗い用。サーフボードの砂を落とす用途でも使えそうだ。筆者撮影

 水着のまま海岸から戻り、庭でボードを洗って乾かす。そして、庭の温水シャワーを浴びて、自分の住戸に戻る、というアメリカ西海岸かハワイのような暮らしが実現するマンションとなっている。

 「レ・ジェイド辻堂東海岸」の中庭には、サーフボード置き場がある。

中庭のサーフボード置き場。筆者撮影
中庭のサーフボード置き場。筆者撮影

 が、それはあくまでも「一時保管場所」。水で洗ったボードを乾かすための場所だ。

 乾いたボードは室内に持ち帰りたい……それが、サーファー心理というものだろう。そして、サーフボードは部屋に飾ってサマにもなる。

 しかし、サーフボード、それもロングボードをマンションの室内に運び込むのは簡単ではない。1階住戸であれば問題ない。しかし、2階以上は大変だ。

 一般的なエレベーターにロングボードは入らないし、抱えて階段で上がろうとしても、階段の曲がり角でボードが当たってしまうケースが多い。そこで、考え出された階段が下の写真だ。

直線に設けられた外階段。一般的な階段より幅が狭くなっている。そこが、また“特別な感じ”を生む。筆者撮影
直線に設けられた外階段。一般的な階段より幅が狭くなっている。そこが、また“特別な感じ”を生む。筆者撮影

 1階から2階まで一直線で、少し間をあけてから、2階から3階に一直線の階段である。これなら、ロングボードを抱えていても問題なく2階、3階に上がることができ、下りも容易だ。

 ロングボードを運ぶため、階段で上り下りしなければならないのだが、低層3階建てなので、その運搬作業は苦にならないだろう。サーフィンで鍛えた体であれば、鼻歌交じりで上り下りできるはずだ。

 年間200物件以上を35年にわたって見続けている私も、「ボードを抱えて上り下りしやすいように」と工夫された外階段など、日本の分譲マンションで初めて見た。

 「レ・ジェイド辻堂東海岸」には、サーフィンをやっている人しか思いつかない工夫が多い。

 その注目すべき工夫の数々を写真で紹介したい。

中庭に面した住戸にも、サーファーへの配慮が

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住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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