山田哲人、史上3人目の「120試合制」でのトリプルスリーなるか~2020年ヤクルト注目の記録・その1
新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期されていたプロ野球の2020年シーズンが、6月19日に開幕を迎える。そこで、高津臣吾新監督の下で新たなスタートを切る東京ヤクルトスワローズの選手に期待される記録を、開幕を前に3回に分けて紹介する。まずはチームの看板スターである山田哲人(27歳)に関するものから。
過去には別当薫、中西太が120試合で達成
山田に期待されるのは、なんといっても過去に3回達成しているトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)だ。メジャーリーグにも4回達成した選手はおらず、山田自身も今年も早くからこれを目標に掲げていたが、開幕が大幅に遅れて各球団120試合制となった今シーズン、そのハードルは一段と上がる。
ただし、前例がないわけではない。たとえば、岩本義行(松竹)と別当薫(毎日)によって、日本プロ野球史上初のトリプルスリーが達成された1950年。毎日オリオンズが所属していたパ・リーグは120試合制でペナントレースを戦っており、当時30歳の別当は全試合に出場して打率.335、43本塁打、34盗塁をマークしている。
1953年には、やはり120試合制のパ・リーグで中西太(西鉄)がこれを達成。こちらも全試合に出場して打率.314、36本塁打、36盗塁という成績で、当時20歳でのトリプルスリーは、山田も含め10人いる達成者の中でも最年少記録となっている。
山田は2018年には114試合目で“クリア”
もっとも、その後は130試合未満のシーズンでトリプルスリーが達成された例はなく、今季の120試合制はハードルがかなり高いと言わざるを得ない。それでも、山田は「厳しい中でもしっかり結果を残して、歴史に名を刻めるような記録を」と前を向く。
実際、3度目のトリプルスリーを成し遂げた2018年はチーム114試合目で30本塁打&30盗塁をクリアしていて、打率もその時点で.314。つまり、120試合制でのトリプルスリー達成は、現代のプロ野球においても決して不可能ではないということだ。
上半身のコンディション不良により、練習試合最後の3試合を欠場したのは気になるところだが、高津監督は「開幕には間に合う予定」と話している。できる限りいい状態で、開幕を迎えることを願うばかりだ。
球団史上3人目の通算200盗塁も視野に
なお、山田が今季の盗塁数を「32」まで伸ばすと、飯田哲也(通算230盗塁)、佐藤孝夫(通算219盗塁)に次いで、球団史上3人目の通算200盗塁達成となる。通算209本塁打は現時点で球団歴代8位にランクされていて、今季20本打てばアレックス・ラミレス(現DeNA監督)、古田敦也、若松勉、杉浦享、広沢克己を一気に抜いて、池山隆寛(通算304本塁打、現二軍監督)、ウラディミール・バレンティン(通算288本塁打、現ソフトバンク)に次ぐ球団歴代3位に進出する。
また、通算1068安打は現時点で15位だが、今季115安打を放つと同1182安打の飯田を抜いて単独10位。自身4度目のトリプルスリー達成ペースで安打を積み重ねれば、通算1184安打で9位のラミレス、同1196安打で8位の角富士夫(現東京国際大監督)を抜き、単独8位に躍り出る可能性もある。
(文中敬称略)