華やかな黒糖香る大島あんが絶品の「春容」正統派ともいうべき名古屋の亀広良さんが受け継ぐ歴史の味
是非皆さんにお試しいただきたいことがあるのです。それは、お好きな地図アプリを開いていただき、[名古屋 和菓子]と検索してみていただきたいのです。
すると楚々とした佇まいの、いわゆる正統派ともいうべき練り切りなどの上生菓子をはじめ、お茶席に相応しいお菓子などが表示されるかと思います。
先日公開した名古屋のお菓子についての記事(詳細はこちら)にも記載させていただきましたが、全国的な知名度は決して高いとは言えないのかもしれませんが、上品な和菓子が揃う茶の湯文化が栄えた場所。
その中でも、繁華街の喧騒を離れて名城公園から徒歩圏内に暖簾を掲げるお店「亀広良」さんは京都の流れと名古屋ならではの文化双方が入り混じる和菓子屋さんです。
1804年創業、京都の「亀末廣」さんから分家した名古屋の「亀末廣」というお店がかつてありまして、その名古屋の亀末廣さんから分家したのがご紹介する「亀広良」さん。
惜しまれつつも閉店してしまった名古屋の亀末廣さんですが、閉店と共に暖簾は京都へ、商標登録と共に銘菓のいくつかは亀広良さんへと受け継がれました。
今回はの中のひとつ、「春容」をご紹介。
はるすがた、という菓銘のお菓子です。箱を開いた時のときめきたるや…一面に広がる薄紅色の春の景色に、体温がほんのり上昇したような。
長方形のこちらのお菓子、薯蕷練り切り・大島あん・こなしの三層構造となっております。一番上の桜色に染まった薯蕷練り切りに刻まれたせせらぎの曲線美はどこか妖艶さをも醸し出しているような気がして思わず釘付けに。さらりとしていながらもしっかり芋の風味と旨味がじんわりと滲みだします。
真ん中の最も厚い層は大島あん。大島あんというのは、黒糖をあわせたこし餡のことです。口に入れた瞬間咲き誇る黒糖の華やかさ、それでいて鮮烈な黒糖に引けをとらない上質な小豆こし餡の滋味深い後味。そこにアクセントとしてこなしのもっちりとした弾力が加わり、食感もちょっぴりユニークに。それぞれが個性と特性を発揮しながらも、食感や香り立ちが喧嘩しないのは三層のバランスが絶妙だからだと確信しております。
思わず目を閉じてしばらく余韻に浸っていたくなるほど心地よい甘味の春容。桜の花弁や葉っぱの塩漬けは一切使用していないにも関わらず、どこからともなく甘美な桜の香りが漂っては鼻腔を擽るような気がするのです。これが情緒というもののひとつなのでしょうね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
<亀広良>
公式サイト(外部リンク)
愛知県名古屋市西区上名古屋1-9-26
052-531-3494
9時~18時
定休日 水曜・第二&第四火曜