【富田林市】展示終了近い大とんだばやし展が、なんと大大大とんだばやし展に!新発見発掘品は確かにすごい
6月29日まで大阪大谷大学博物館で「大とんだばやし展」が行われていることは以前紹介した通りです。本来なら同じ場所で同じ開催内容を、ここで2回もご紹介することはありません。
しかし、10日ほど前に喜志南カイト古墳が見つかったと発表のニュースが流れた上に、29日まで追加展示して「大大大とんだばやし展」になったたという情報を得たことから、これはやはり実際に展示を見てご紹介しようと考えました。
ということで先日、大阪大谷大学博物館を再訪しました。本当は15日に富田林市教育委員会生涯学習部文化財課調査担当の角南辰馬(すなみたつま)氏からの解説があったそうですが、人が殺到しそうだったので日をずらしての訪問です。
こちら大阪大谷大学博物館の「博物館だより」で、大とんだばやし展について紹介している冊子の後についている地図です。富田林の石川沿いにはこんなに多くの遺跡が見つかっているわけですが、今回は画像の上の方にある喜志南遺跡(赤丸)の新発見だったのです。
そしてこのような報告資料を入手しました。今回の新発見(仮称:喜志南カイト古墳)についての調査報告書です。なお、これは博物館に行けば無料で手に入ります。ちなみに「カイト」とは調査地の小字(あざ)名とのこと。
調査地点についての地図がついています。1972年の都市計画図なので今とは違います。
上記地図をもとにおおよその場所を見ると紫で記した通りです。
報告資料にも記している通り、すでに住宅が建っているため、古墳の見学は不可です。喜志南遺跡の周辺は近鉄喜志駅の徒歩圏内で、かつ石川沿いにあるため住環境が良いと判断されているようで、新しい住宅が次々と建てられています。
ちなみに画像は、昨年5月にきらめきファクトリーで展示されていた浮ヶ澤古墳の場所の近くを撮影したものです。
この時点で既に新しい住宅が周囲に建てられていました。とはいえ昨年5月の時点では田んぼや荒れ地が残っている地域がありました。
調査報告書によれば秋ごろにこの辺りの宅地造成計画が発表されました。そのため宅地が造成される前に発掘調査が行われ、その出土品を調査した結果、今回の新発見となったわけです。
こちらは報告資料にあったイラストです。埴輪がまとまって見つかったことがわかります。
ということで、2回目の訪問です。
中に入りました。画像のふたつの展示物が新たに追加されたものです。
説明を見るまでもなく、大きな展示物に圧倒されました。報告資料では大王募のものとそん色のない大きさとのこと。
説明が書かれています。一辺30メートルの方墳が、大王墓の従属ではなく単独で見つかったことが異例とのこと。
あらためてみてみましょう。昨年の発掘調査で見つかった破片を継ぎ合わせているのがわかります。
5世紀(古墳時代)といえば、西暦401年から500年で、中国の「宋書」倭国伝に登場する倭の五王が活躍した時代とされます。ちなみに倭の五王とは履中(讃)、反正(珍)、允恭(済)、安康(興)、雄略(武:ワカタケル)ではないかと推定されていますが、ほかにも応神や仁徳などの天皇が該当するのではという説もあるそうです。
小型のほうの円筒埴輪ですが、小型といっても迫力があります。報告資料によれば大型が外堤部分で、小型は墳丘に置かれていたとのこと。
そしてこちらは、円筒埴輪の一部ですが、良くみると船などの線刻があるといいます。
拡大しました。破片をつなぎ合わせたヒビのある部分に混じって、焼き上げる前の段階で筋を入れたと思われるもの、右下に見えるひし形のものや上部に見える横線と枝分かれていているものが見えます。報告資料によれば両先端が二股に分かれているものは「二股式準構造船」の特徴をとらえているとのこと。
隣の展示物を見てみましょう。発掘時の写真がありますが、下の方を見ると本当に多くの破片が同時に見つかったようですね。
もうひとつの展示物も個性的なものが並んでいます。
これは蓋形埴輪(きぬがさはにわ)と呼ばれるもので、位の高い人にさしかける傘を意味するそうです。
個性的な形をしていますが、破片にははっきりと筋がみえますし、少し濃い茶色が壁画の文様のように見えますね。
報告資料によれば、3本線による弧線文が描かれているということ。確かにわかります。
こちらの破片にもうっすらと筋が見えます。
説明の手前にあるのは笠の部分です。
さてこちらは、馬形埴輪と「鹿の線刻」がある円筒埴輪とのこと。
馬形埴輪です。報告資料によると蹄(ひづめ)を写実的に表現しているそうです。確かに下の方を良く見ると馬の蹄にみえますね。
「鹿の線刻」のほうを見てみましょう。
拡大してみました。鹿の胴体?のような曲線の下を良くみると足らしき縦線が見えます。
こちらは埴輪不明品として展示されています。「5世紀か?」という表記があり詳しくはわからないようです。
形象埴輪とともに、今回の発掘以前に喜志南カイト古墳の近くで発見されたものとのこと。
不明品なので説明もありませんが、サークルを利用した個性豊かな文様が見えます。
いつか正体がわかった時に、すごい発見となるかもしれませんね。
ちなみに「大とんだばやし展」の印象度ランキング途中経過発表がありました。ここに新発見の展示物が参入するかどうかも気になりますね。
というわけで、新発見で追加展示した喜志南カイト古墳を報告資料を交えて詳細を紹介しました。29日の展示最終日まで1週間余りありますので、せっかくの機会です。ぜひ無料展示している大阪大谷大学の大大大とんだばやし展に足を運んではいかがでしょう。
大阪大谷大学博物館(大とんだばやし展)(外部リンク)
住所:大阪府富田林市錦織北3丁目11番1号
電話番号: 0721-24-1039
開館時間:10:00~16:00
展示期間:6月29日まで
アクセス:近鉄滝谷不動駅から徒歩10分
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