新しい生活様式下でも大活躍!手軽でおいしい、コンビニの注目商品
リモートワークの増大や、外出を控える生活を送る中で、身近なコンビニの利便性を改めて感じた人は少なくないだろう。自宅での食事の増加や、昨今の簡便・時短ニーズの高まりなどにより、コンビニでも冷凍食品やレトルト食品といった手軽な食品の売れ行きが好調だ。とりわけ最近は、冷凍食品の充実度が注目を集めているが、それ以外にも、チルド惣菜やレトルトカレー、複数の食材が一度に採れるカップサラダなど、コンビニには様々なシチュエーションで便利に使える商品が豊富に揃う。しかも新商品が次々に発売されるので、通っても飽きることがない。暑くなるこれからの季節は、火を使わずに食べられる点でも重宝しそうである。そこで今回は、比較的新しい商品の中から、各社イチオシの商品を紹介しよう。
選べる楽しさも魅力。ローソン×新宿中村屋の本格カリー
ローソンでは、4月のレトルト食品販売高(1店舗あたり)は、前年同月と比較して約4割増を記録。うち約7割の販売高(2020年4月実績)を占めたのが、なんとレトルトカレーだ。そもそもカレー市場では、2017年にレトルトカレーの売上高がカレールウの売上高を逆転し、その後も拡大傾向が続いている。最近では、スパイスカレーやご当地カレー、名店のカレーといった本格的な味を求める傾向があるようだ。さらに近年は、電子レンジで袋ごと温めることができる商品が多数発売され、湯煎に比べてより手軽に食べられる点が支持されている。
こうした背景から、ローソンでは「具材を楽しめる」、「本格志向の味わい」、「素材の味を楽しめ、健康に留意(化学調味料・香料・着色料不使用)」をコンセプトに、オリジナルブランドのレトルトカレーの開発に着手。「純印度式カリー」で知られる老舗「新宿中村屋」とコラボしたレトルトカレーを、2019年10月より販売している。
「新宿中村屋」は、小麦粉を使った「欧風カレー」が主流だった時代に、本格的なインドカリーを初めて発売した老舗。その歴史や商品へのこだわりも伝えたいと、商品名はすべてカレーではなく「カリー」の表記を採用している。「新宿中村屋さんとは、2014年6月からローソンの店内厨房(店内キッチンで作った商品)にて、共同開発したオリジナルのビーフカリーを発売していました。老舗のこだわりの商品・本格志向の商品としてお客様よりご好評いただいていたことから、より手頃な価格で購入できるレトルト食品を開発しました」(ローソン商品本部 加食・菓子部 チーフマーチャンダイザー・橋本拓也氏)。
家庭では作れない本格的な味わいが、女性の支持を集める
現在のラインナップは、全8品(各税込298円)。昨年10月に発売されたカレー3品(「スパイス香るキーマカリー180g」、「スパイス香るビーフカリー180g」、「ココナッツ香るグリーンカリー180g」)に加え、今年4月に「スパイス香るバターチキンカリー180g」、「1/2日分の野菜が摂れるカリー 185g」のカレー2品が新登場。さらに、「ごろごろ具材のクリームシチュー」、「赤ワイン仕立てのデミグラスビーフハヤシ」、「本格四川麻婆豆腐」というカレー以外の商品も加わった。カレーについては、全5品のうち4品において女性の方が多く購入しているという傾向があり、「外出自粛の影響で普段レトルトカレーを購入されない女性や、“自宅では作れない本格的なカレー” を求める女性などにご購入いただいているのでは」と橋本さんは言う。また購買傾向として、同じシリーズのレトルト食品や即席ご飯との買い合わせも多いそうだ。「最近のローリングストックの需要増加や時短簡便ニーズから、カレー・ごはんともにレンジ加熱で簡単に調理できる事が支持を得ていると思われます」(橋本氏)。
アジアの味が手軽な丼に!ファミマ「お母さん食堂」の「ごはんにちょいかけ!」
単身世帯や共働き世帯の増加、少子高齢化などを背景に、ファミリーマートが2017年より展開している「お母さん食堂」シリーズ。家庭の温かみのある味をコンセプトに、惣菜ジャンルを強化すべく立ち上げたブランドで、臙脂色をテーマカラーにしたパッケージは売り場でもひときわ目を引く存在だ。発売当時は約70品だった商品数は、約180品に増加。定番の和惣菜から、居酒屋風のちょっと気の利いたおつまみ、自宅で作るには手間のかかる中華惣菜などまでバリエーション豊富に揃えており、晩酌のつまみや夕飯のもう1品、リモートワーク中の手軽なランチなど、幅広いシチュエーションで購入されているようだ。特に人気があるのは、「デミグラスソースのハンバーグステーキ」(税込198円)、「旨辛ソースのぷりぷりっ!海老チリ」(税込311円)、「じっくり煮込んだ豚角煮」(税込321円)などで、発売当初からの売れ筋商品。「ご飯やお酒に合わせる方はもちろん、最近は健康意識の高まりからカップ野菜との買い合わせも多いようです」(ファミリーマート広報・樋口雄士氏)。
5月19日より新たに展開し話題なのが、ごはんにかけて食べる新たなパウチ惣菜「ごはんにちょいかけ!」シリーズ。「ごはんにちょいかけ!ユッケジャン」(税込258円)、「ごはんにちょいかけ!ルーロー飯」(税込298円)、「ごはんにちょいかけ!ごまみそ坦々(税込258円)の3品で、いずれもチルド商品として販売。五香粉や八角を使用した台湾フードのルーロー飯や、山椒の風味と痺れる辛さが特徴のごまみそ坦々など、本格的な味わいを再現しており、袋のまま電子レンジで温め、白いご飯にかけるだけで手軽に丼ご飯が味わえる。ラーメンに入れたり、豆腐にのせたりと、自分なりのアレンジで楽しみ方はさらに広がりそうだ。
日々の食事に、野菜をもう1品。セブン‐イレブンの「カップデリ」
セブン‐イレブンでは、手軽に野菜を取り入れられる商品として展開している「カップデリ」シリーズが好調だ。持ちやすいカップ型の容器で、量目を食べきりサイズにした商品で、サラダとしてだけでなく、おつまみや食卓のプラス1品としてなど、様々なシーンで利用できるのが魅力だ。例えば、5月26日よりリニューアル発売されている「6種具材のお豆腐とひじきの煮物」(198円+税)は、レタス約1個分の食物繊維を摂ることが可能な「カラダへの想いこの手から」シリーズの商品。具材を合わせた後に、従来の約2倍の時間をかけて一鍋でじっくり煮込むことで、味の一体感が向上。煮込んだ後に冷却時間をとることで、しっかりと味が染み込む仕立てになっている。「発売当時より多くのお客様にご支持いただいておりましたが、直近では以前にも増してお買い求めいただいております」(株式会社セブン&アイ・ホールディングス広報担当)。シリーズ全体の売上げは、昨年比で約2割伸長しているという。
また同シリーズは、容器のフタ部分について、2018年より一部エリアで導入してきた「トップシール」への変更を順次全国に拡大し、約1日の消費期限延長を実現。従来の容器に比べて1個当たり約25%のプラスチック量削減と、廃棄ロス低減につながっている。今後は、同カテゴリーの商品にも順次採用を進めていく方針だ。
専門店のような本格的な味わいのカレーに、より手軽に食事をサポートする便利惣菜、そして、野菜を手軽に取り入れられるデリ。それぞれの商品は、同じコンビニ惣菜といっても、その利用目的は全く異なるのが興味深い。