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テーマは「サヴァラン」。過去最大301店舗が参加する「フランス パティスリーウィーク 2024」

笹木理恵フードライター
個性豊かなサヴァランが、全国のパティスリーやホテルに登場!

2024年で第4回目を迎えるパティスリーの祭典「ダイナースクラブ フランス パティスリーウィーク」。期間中、全国各地の洋菓子店やホテル、レストランなどが共通テーマに沿ったオリジナルのお菓子を提供するイベントで、2021年に開催された第1回のテーマは「パリ・ブレスト」。続く2022年は「ミルフィーユ」、2023年は「エクレア」をテーマに開催され、昨年度は北海道から沖縄まで230店舗が参加し、6万人以上が来店。2024年度は過去最高の301店舗の参加が決定しており、ますます注目が高まっています。

第4回目となる今年のテーマは「サヴァラン」

シェフの創作性が活きたサヴァランは、形も味もバリエーション豊か!
シェフの創作性が活きたサヴァランは、形も味もバリエーション豊か!

2024年の共通テーマは「サヴァラン」。フランスの美食家ブリヤ=サヴァランに敬意を表して名付けられた伝統的なお菓子で、リング状に焼いた発酵生地に、ラム酒やアルマニャックなどのシロップを染み込ませた大人のスイーツ。リング状でないものは、「ババ」とも呼ばれ、フランスやイタリアで親しまれています。

「サヴァラン」の歴史やストーリーを知るきっかけにも

「サヴァラン」の原型となったババの歴史は古く、18世紀、元ポーランド王のスタニスラス・レクチンスキ公の時代に誕生したと伝えられています。公が愛読していた「千夜一夜物語」にちなんで、主人公アリババの名前を付けたそのお菓子は、19世紀中頃にフランス・パリの菓子店「ストレー」で「ババ・オ・ラム」として売り出されて評判に。その「ストレー」で修業したオーギュスト・ジュリアン氏がリング状にするなどアレンジを加え「サヴァラン」が誕生したと言われています(諸説あり)。

発表会では各シェフが、サヴァランへの思い入れや今回の商品のこだわりを語りました
発表会では各シェフが、サヴァランへの思い入れや今回の商品のこだわりを語りました

6月5日に行われたメディア発表会では、登壇した10名のシェフが個性溢れるサヴァランをいち早く披露。その一部をご紹介します。

「MAISON GIVREE」の「サバラン スクエル マイス」

見た目も楽しい、とうもろこしのサヴァラン
見た目も楽しい、とうもろこしのサヴァラン

会場でひときわ目を引いていたのが、とうもろこしを主役にした中央林間「MAISON GIVREE(メゾンジブレー)」の「サバラン スクエル マイス」。コーン茶やタヒチバニラ、ラムのシロップに浸した生地に、高知産スーパースイートコーンを使ったとうもろこしのブリュレ、ヴァローナのブロンドチョコレート「ドゥルセ」のクリームなどを重ねています。とうもろこしの甘さと、キャラメルチョコレートの甘み、バニラとラムの香りが相性抜群。飾りのポップコーンが食感のアクセントになっていて、野菜や果物が得意な江森シェフらしい、遊び心溢れるサヴァランです。

「Regalez Vous」のデセール

鎌倉「Regalez Vous(レガレ ヴ)」のサヴァランは、アシェットデセールスタイル。バターのかわりに太白ごま油で作った植物油脂の生地を、ハイビスカスと柑橘のシロップに浸しており、軽やかな食べ心地。エキゾチックフルーツやハーブティーのジュレ、ココナッツアイス、ごまのチュイルなど、素材の組合せにも佐藤シェフの個性が光る一皿です。

「INFINI」の「サバランダナナ黄金(クガニ)」

パイナップルとミント、ココナッツがさわやか!
パイナップルとミント、ココナッツがさわやか!

九品仏「INFINI(アンフィニ)」金井シェフの「サバランダナナ黄金(クガニ)」は、石垣島のパイナップル「クガニ」を使ったサヴァラン。ホワイトラムを浸み込ませた生地に、ミントがさわやかに香るモヒートのジュレ、ココナッツのクレーム・ディプロマット、生姜風味のシロップで煮たパインの組合せ。グラスの中央に生地が入っているためクリームと生地との一体感が高まり、なめらかな口どけで夏でも食べやすいサヴァランです。

「パティスリー レザネフォール」の「サヴァラン サングリア」

赤ワインと柑橘やスパイスの香り豊かな大人のサヴァラン
赤ワインと柑橘やスパイスの香り豊かな大人のサヴァラン

恵比寿と中野に店舗をもつ「パティスリー レザネフォール」には、サングリアをコンセプトにした「サヴァラン サングリア」が登場。カベルネソーヴィニヨンの赤ワインとオレンジ、フランボワーズ、スパイスやバニラに浸した生地は、まさに大人の味わい。ムース・ショコラやクレーム・シャンティと一緒に食べるとよりデザート感がアップします。

「ダイナースクラブ フランス パティスリーウィーク」は、日本でフランスの伝統菓子の認知を拡大することに加え、年間で最も売上の落ちる夏場に開催することで、菓子業界を盛り上げる役割も果たしています。シェフたちのアイデアや個性溢れる、日本ならではの「サヴァラン」、ぜひ楽しんでみてくださいね。

イベント名:ダイナースクラブ フランス パティスリーウィーク 2024

開催期間:2024年7月1日~31日

開催場所:全国各地の参加店301店舗(北海道・東北17店、関東179店、中部22店、近畿51店、中国・四国12店、九州・沖縄20店)

公式サイト:https://francepatisserieweek.com/

※店舗により提供&販売期間が異なる場合があります。またサヴァラン商品の価格は、店ごとの自由設定

※画像提供/ダイナースクラブ フランス パティスリーウィーク 2024事務局

フードライター

飲食業界専門誌の編集を経て、2007年にフードライターとして独立。専門誌編集で培った経験を活かし、和・洋・中・スイーツ・パン・ラーメンなど業種業態を問わず、食のプロたちを取材し続けています。共著に「まんぷく横浜」(メディアファクトリー)。

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