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【オークス】断然1番人気のリバティアイランド、ノリにのっているが故の盲点は!?ヒモ荒れの注目馬は?

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
阪神ジュベナイルフィリーズ 優勝時のリバティアイランド(写真:山根英一/アフロ)

リバティアイランドは抜けた1番人気もヒモ荒れの予感

 21日、東京競馬場で第84回オークスが行われる。出走は18頭。まずはオッズの推移を確認しよう。

 前日から当日正午にかけて、安定した1番人気を保っているのは桜花賞馬のリバティアイランドだ。前日(以下もJRA発表のオッズを使用)から当日まで単勝1.4倍から1.5倍で2番人気のハーパー(前日9倍、当日正午過ぎ現在も9倍)を引き離している。

 単勝1桁台はこの2頭だけで、続く3番人気は桜花賞2着のコナコースト(前日13.5倍、当日正午過ぎ12.6倍)、4番人気がフローラS優勝のゴールデンハインド(前日14.9倍、当日正午すぎ17.5倍)と続く。

 5番人気以下は当日正午すぎに前日は42.1倍だったクイーンS2着のドゥアイズが19.9倍に浮上。武豊騎手に乗り替わったフローラS2着のソーダズリング(前日27.9倍→当日正午過ぎ26.1倍)、東京で新馬を勝ち阪神JF2着だったシンリョクカ(前日28.0倍→当日正午26.4倍)、横山武史騎乗で桜花賞3着のペリファーニア(前日24.8倍→当日正午すぎ27.9倍)らがひしめき合っている。

 そのあとも、ミッキークイーンの仔であるミッキーゴージャス、リバティアイランドに唯一勝ったことがあるラヴェル、シンザン記念優勝馬のライトクオンタム、東京でのクイーンS、フローラSをともに4着のイングランドアイズらが上位12頭、単勝50倍未満で続いている。

断然人気のリバティアイランドは800mの距離延長とスタンド前発走を克服できるか

 突出した1番人気で桜花賞を32秒9という強烈な末脚で制したリバティアイランドについておさらいしよう。

■2023年桜花賞(GⅠ) 優勝馬 リバティアイランド

 リバティアイランドの桜花賞での勝ちっぷりは実に鮮やかだった。最後の直線まで後方に控え、外から一気に差し切っての勝利。文句なしの1冠目で、その時点からオークスへの直行と人気は十分予想できた。

 この中間もきわめて順調だ。しかし、それでもやはり懸念点はある。

 まず、やはり初の2400mで距離が一気に800mも延びる点だ。オークスに限っていえば、同条件で走る馬も多いのも事実。しかし、リバティアイランドは切れ味が身上であり、直前の追い切りでもラスト1ハロン10秒台というとても速いタイムを出していた。まさに"ノリにのっている"状態だとは察するが、それは前進気勢も以前より増しているようにも感じる。

 ゆえに2400mをどうこなすのか、と注目している。

 まして、東京の芝2400mはスタンド前発走だ。川田騎手が追い切り後の記者会見で「繊細な3歳牝馬なので、以前のようにゲートが開くまで声援は我慢していただければ。ゲートが開いてから全力で盛り上げていただければ」と"ファンにお願い"をしていた。競馬にはいろんな楽しみ方がある。その呼びかけがどこまで通じるのか、とても気になる。

 東京コースといえば、デビュー2戦目のアルテミスS(G3)でラヴェルに先着を許し、クビ差の2着に終わっており、現時点では"得意コース"とはいいがたい。

 とはいえ、かつてアーモンドアイがデビュー戦は2着に敗れているように、幼いうちの敗退は"レースを覚える薬"に過ぎない、とも考えられる。

 筆者はリバティアイランドの絶対女王ぶりをぜひ見たいのだが、ここまで人気がバラけると、彼女らがかなり気楽に思い思いにリバティアイランドに勝ちにくる可能性も否定できない。

■2022年阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ) 優勝馬 リバティアイランド

成績が極端なラヴェル。前日輸送がプラスになるか

 特に気になるのは、実際にリバティアイランドに東京の舞台で勝ったことがある1枠1番のラヴェル。アルテミスSではリバティアイランドより速い上がりタイム(33秒0)で勝っている。ただし、成績が極端でデビューから連勝したあとの阪神での2戦はともに11着敗退だ。これについては、当日輸送と相性が悪い馬もいるので、前日に東京競馬場に入って滞在できるのはこの馬にとってプラスになるのではないか、と考える。

■2022年アルテミスS(GⅢ) 優勝馬 ラヴェル

 陣営も内目の枠が望ましいと考えていたところへの1枠1番というのもいい。単勝オッズは当日正午過ぎで39.6倍。前日から単勝30倍台後で推移しており、複勝も約5~10倍程度。ここ2戦はマイナス体重での出走なので、馬体重とパドックでの馬体に注視したい。

2023年オークス枠順(筆者作成)
2023年オークス枠順(筆者作成)

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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