菅義偉官房長官が5月29日の記者会見で、東京新聞の記者からの質問に対して「その発言だったら指しません」と回答したことがネット上で話題を呼んでいます。
2月26日にも「あなたに答える必要はありません」の回答が大きな話題となりましたが、そのときと同様にやはりメディアは「実際にどのようなやり取りがあったのか?」を書いていませんでした。
そのため、この“発言した”という情報だけで菅長官支持派と東京新聞記者支持派がネット上で論争を繰り広げていますが、ただ言い争うだけでは前進しないのは目に見えています。
そこで前回と同じくどのような質問だったのか? それに菅官房長官は何と答えたのか? 全文を書き起こしました。
5月29日の東京新聞記者、質問全文書き起こし
書き起こした文章を読めばわかると思いますが、すでに2回同じ質問をされていたため「3回目は指しません」と答えた流れです。
その後の質問については、朝鮮労働党の機関紙からの批判に対して「いちいちお答えしません」との回答でした(翌30日の記者会見で「北朝鮮からの発表に政府がいちいち答えることは拉致問題をふくむ交渉に影響するためお答えしない」と同東京新聞記者からの質問に回答)。
ついでに前回の「あなたに答える必要はありません」では、「午前と午後の2回にわたって同じ趣旨の質問があったため繰り返す必要はない」との話が翌日に出てきたため、同様の質問がなかったかさかのぼって調べてみました。
5月28日の東京新聞記者、質問全文書き起こし
前日の記者会見でも同様の質問をしており、ここでも「記者会と対応」という回答だったことが確認できました。
この問題、いつまで続けるの?
この一連の質問妨害の件というか、菅官房長官と東京新聞記者のやり取り。報道を見ていると誰も進んで解決しようとしていない印象を受けます。
同じ質問を繰り返す東京新聞記者と、それに対してうんざりしているのか誠実とは言えない反応をかえす菅官房長官。そのやり取りから大事なところを削って伝えるメディアと、それを受けて燃え上がるネットユーザーたち。
おそらくこれ、ずっとこの状態が続いていくと思います。個人的には記者クラブに所属している人たちが解決に動き出さないのが不思議でなりません。
内閣記者会(記者クラブ)が質問妨害を容認しているのであればなぜ容認されているのか、していないのであればなぜ東京新聞記者だけが「質問に移ってください」と言われるのか。
そしてなぜ、メディアは読者に対してあまり長くもないやり取りを大きく切り取り、一部しか伝えようとしないのか。
前回の記事でも「質問内容を切り取るのはミスリード」と訴えましたが、同じことが今回も起きています。この記事のように全文書き起こすべきだとは言いませんが、「こんな発言がありましたー」と伝えるだけで、メディアっていいんでしょうか?