「あなたに答える必要はありません」東京新聞記者は何を質問したのか? 全文書き起こし
菅義偉官房長官が2月26日の記者会見で、東京新聞の記者からの質問に対して「あなたに答える必要はありません」と回答したことがネット上で話題を呼んでいます。
時事通信や朝日新聞の報道では質問は「記者会見を開くことについての見解を尋ねる内容」だったとのことですが、実際にどのようなことを発言したのかは書かれていません。
そのため質問を実際に聞いた人と聞いていない人によって意見が異なり、ネット上での論争が続いています。
そこで、どのような質問だったのか? それに菅官房長官は何と答えたのか? 全文を書き起こしました。
東京新聞記者、質問全文書き起こし
前半で意見を伝え、後半で質問にしている
記者会見を見た印象としては、東京新聞記者は質問に入る前に自分の意見を長官に伝え、それにかぶせるかたちで質問しています。
そのため「質問に答えなかった」と報道することは間違いとは言えませんが、正しいとも言えないと思います。
例えば最初の質問には「この抗議文には、主観にもとづく客観性、中立性を欠く個人的見解など、質問や表現の自由におよぶものが多数ありました」とあります。これは意見です。
この質問に答えた場合、この意見を認めたうえで回答するかたちになります。そのため菅官房長官は「この場所は記者会見の質問を受ける場であり、意見を申し入れる場所ではありません」と答えたのだと思われます。
続いての質問も「会見は政府のためでも、メディアのためでもなく、やはり国民の知る権利に答えるためにあるものと思いますが」とあります。これも意見です。そしてそのあとに質問を続けています。
どちらの質問も最初に意見を述べ、それに関する回答を要求しているため「あなたに答える必要はありません」との流れになったことは、少なくとも新聞記者であれば誰もが理解できることだと思います。
質問内容を切り取るのはミスリード
それなのに報道では東京新聞記者の発言から意見部分を省き、質問部分だけを掲載するのはミスリードを狙っているとしか思えません。
もちろん東京新聞記者の発言を質問とみなす声も多くあります。それはそれで良いと思います。
ただ、いまのネット上の論争は全文知ったうえで支持する人・しない人、記事だけで支持する人・しない人が互いに攻撃しあっていて全く議論が進んでいません。
読者に判断材料を提供する際に、誤解を誘発させる書き方をするのは報道として間違っているのではないでしょうか?