芸能人、有名人の突然の死の受け止め方
■芸能人、有名人の突然の訃報
昨年は、三浦春馬さんや竹内結子さん。先日は、神田沙也加さんの突然の訃報が流れました。スポーツ選手の突然死もありました。
家族友人との突然の死別はもちろん大きな衝撃です。芸能人、スポーツ選手など有名人の場合は、客観的には遠い人でも、まるで身近な人が亡くなったようなショックを受けることがあります。
思春期の子などは、自分の好きなアイドルがヘアスタイルを変えただけでショックを受ける子もいます。アイドルグループの解散に、大変なショックを受ける人もいます。突然の訃報となれば、ショックが大きいのは当然です。
ファンの思いは特別です。中には、「ファン」などと軽々しく言わないでほしいと語る人もいます。ただのファンではなく、とても親しい親友や恋人に近い感覚です。
特別なファンでない場合、名前すら実はよく知らなかった場合ですら、あのドラマの人、あの歌の人とわかって、本人も予想しなかったほどの心のダメージが続くことがあります。
有名人が亡くなると、夜のNHKニュースから翌朝のワイドショーまで、その話題が取り上げられます。故人をしのび、作品が紹介され、映像が流されます。
昨年の芸能人の立て続けの訃報で、若い世代だけでなく、中高年世代も、本人も驚くほどの気持ちの落ち込みを経験した人達がいました。
今回の神田沙也加さんは、社会現象にもなった「アナと雪の女王」のアナの声を担当していた人です。若い学生たちに聞いても、アナの声の人が亡くなったと衝撃を受けている子たちがたくさんいました。
「アナと雪の女王」は、つい先日、パート1、2と2週続けてテレビ放送されたばかりでした。
■心の傷とは
心の傷は、目に見えません。心の傷の大きさは、他人が判断するものではなく、その人が感じている大きさこそが、その傷の大きさです。
家族が亡くなって落ち込むのは、多くの人が共感できるでしょう。しかし、たとえばペットが死んで落ち込むのは、共感できる人とできない人がいるでしょう。
たかが動物の死と考える人もいます。しかし、家族同様のペットが死んで、まるで家族との死別のように落ち込む人は大勢います。ペットロス症候群と呼ばれる心の症状が出る人もいるほどです。この悲しみを共感してもらえないことで、さらに落ち込む人もいます。
有名人の死も、言ってみれば赤の他人の死です。無数に流れるニュースの一つです。けれども人によっては、身近な人との死別同様の大きなダメージを受けることもあるでしょう。その悲しみをわかってもらえない人もいるでしょう。
わかってもらえない悲しみこそが、最も辛いことでしょう。心の傷は、私たちの予想を超えて、深く長く残ることもあるのです。
■死別の苦しみ
死別の衝撃は、様々な感情になって現れます。悲しみだけではありません。自分を残して先に行ってしまったと、怒りがわくこともあります。自死の場合は、なおさら複雑な感情がわくでしょう。
どの感情も、そのまま受け入れることが大切だと言われています。死別の悲しみは、どうしようもない悲しみですから、深く長く悲しむことでしか癒されないのです(死別の悲しみを癒すための10の指針:ヤフーニュース個人有料)。
次々と生まれる感情も、その感情自体が悪いものではありません。
ただ、孤独に悲しむことは避けましょう。共感してもらえる人と語りあいましょう。安全な場で、安心して、感情を出しましょう。
■亡くなった人の思いに心をはせる
芸能人の解散や引退の場合は、その芸能人自身が、メッセージを出してくれることがあります。最後の大きなコンサートなどが開かれることもあるでしょう。
ショックを受けたファンのみなさんを、納得させてくれるイベントや発言もあるでしょう。
音楽グループの解散でショックを受けていた中学生は、ファンに向かっての「君たちは元気で頑張っていってほしい」とのメッセージを受けて、元気を取り戻していました。
ところが、突然の死別の場合は、それができません。事故の場合はもちろん、自死の場合も心理的に追い詰められていますから、ファンに向けての前向きのメッセージなども無理でしょう。病気で亡くなるときも、メッセージを残す余裕がないときもあるでしょう。
さて、ではどのように考えたら良いでしょうか。
そんなときには、ファンとして、いえ特別なファンではなくても作品を楽しんだ一人として、その芸能人有名人の本当の心を信じたいと、私は思います。
具体的なメッセージは残してはくれなくても、そのときは心の余裕がなかったとしても、本来のその人の心を信じたいと思います。
その人が、歌やドラマや映画で表現し続けてきた愛や希望や人間賛歌は、噓ではなかったと信じたいと思います。
そして、たとえ言葉では表せなくても、きっとファンを愛する強い気持ちは持ち続けていたと信じたいと思います。
ファンのみなさんの、健康と活躍をきっと祈っているはずだと信じたいと思います。
そう思えることが、残された人たちの癒しにつながることでしょう。
< まもろうよ こころ :厚生労働省 >