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食物依存症(摂食障害=過食症or拒食症)

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。


私は、摂食障害については、
YouTubeや電子書籍で、いろいろ語ったり書いたりしているのですが、今日は、摂食障害は食物依存症という切り口で、接食障害の治し方を解説したいと思います。

依存というのは、やめたいのにやめられなくて、それで日常生活に支障が生じている状態を指します。そう言った意味では、接食障害は、食物依存と考えて間違いないかと思います。

接食障害の方は、食べ物に対して異様な執着を見せます。頭の中は、食べ物のことでいっぱいで、「たくさん食べたい」「でも食べると太る」「出来る限り食べないでおこう」等と、グルグル思考が頭の中を駆け巡ります。

過食症の人は、食べている時、異常な快感を覚えます。
拒食症の人は、自分の体重が減ったと知った瞬間、異常な快感を覚えます。

今言ったように、過食症の人も拒食症の人も、行動はまるっきり逆ですが、快感を追い求める点においては同じです。それが証拠に、過食から拒食へ、拒食から過食へ行ったり来たりする人も少なくないです。

ここで補足説明ですが、
過食症の人は、拒食症になったとき、食べなくなったことや体重が減り始めたことを喜ぶことが多いのですが、実は、症状としては、より深刻になっていると言えます。要するに、「過食症より拒食症のほうが、治るのが治すのが難しい、深刻な症状に陥っている」ということです。

さて、心理カウンセラーである私(竹内成彦)は、
接食障害の当事者もしくは家族から、「どうしたら摂食障害が治りますか?」と訊かれることが多いのですが、「接食障害は食物依存だ」と捉えると、ここに治すヒントがあります。

話変わって、日本には、数多くの、アルコール依存症の会、断酒会があります。さて、その会の会長さんなんですが、多くの方から、よく受ける質問があります。それは何かと言いますと、「どうしたら、お酒をやめられますか? どうしたらアルコールを断つことが出来ますか?」という質問です。で、会長さんの答えはいつも同じです。「飲まないことです。飲まないことを続けることです」

上記の答えを聞いて納得する人は少ないです。
それで会長さんに「そんなの当り前じゃないですか。それが出来ないから苦労しているんじゃないですか。ちゃんと治す方法を教えて下さいよ」と詰め寄ったりします。

すると会長さんはこう答えます。「アルコール依存症の会に通ってください。毎月通ってください。そうすれば良くなります。そうすれば飲まなくなります」と答えます。ここまで言っても納得しない人は納得しないです。「いや、そうじゃなくて、俺は治す方法、飲まなくなる方法が知りたいんだ。もったいぶらずに、治す方法を教えてくれや」と…。

食物依存=接食障害に話を戻します。
過食症を治す方法は、食べ過ぎをやめることです。やめ続けることです。そうすれば過食症は治ります。拒食症を治す方法は、食べないのをやめることです。やめ続けることです。そうすれば、拒食症は治ります。これは嘘ではなく、これが正解であり、これが治す方法です。

「簡単に言うな。それが出来ないから苦労しているんじゃないか!」という反論はあろうかと思いますし、その反論は、もっともだと思うのですが、だからこそ、「本気で治したかったら、専門家の許を訪れ、そして通ったほうがいい」と私は主張するのです。

接食障害をひとりで治すのは非常に困難です。世の中には、「自分ひとりで摂食障害を治した」とおっしゃる方がいるのですが、そのような人はまれですし、誰もがその人と同じ方法で摂食障害が治るとは限りません。っていうか、その人と同じ方法で治ること自体、非常に珍しい…ということです。

だから、接食障害の人に対しては、「治す方法を探し回るのではなく、一刻も早く、専門家の許を訪れ、そして腰を据えて通ったほうがいい」というメッセージを伝えたいと思います。大切なのは、治す方法を知ることではなく、治す努力をし続けられるよう、サポートを受け続けることです。それが重要です。

残念ながら、接食障害を治す魔法のような方法は、世の中にはありません。
カギは、ちゃんと食べること、食べ過ぎないこと、それを継続していくことなのです。

最後に、有名な断酒の誓いの一節を、あなたにご紹介したいと思います。
この誓いは、アルコール依存症の会に集まる方が、最初に朗読するものです。

私たちは酒に対して無力であり、自分ひとりの力だけではどうにもならなかったことを認めます。

今の一節を聴いて、あなたはどう思いましたか?
そう、「自分一人の力で、アルコール依存症を治せる」と思っているうちは、まだ治療の入り口にも立っていない…ということなのです。
同じように、「自分一人の力で、摂食障害(食物依存)を治せる」と思っているうちは、まだ治療の入り口にも立っていない…ということです。

「自分一人の力で、食物依存(摂食障害)を治すのは困難だ。専門家の力を借りよう!」と、そう決心することが、食物依存(摂食障害)を治す方法、食物依存(摂食障害)を治すコツとなります。

私は、あなたが、有能で心優しい専門家に出会うことを心から祈っています。


今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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