社会人・ジェイプロジェクトにも4安打1得点の辛勝《阪神ファーム》
ウエスタン・リーグに続いて、きのう16日はイースタン・リーグが開幕。ジャイアンツ球場で行われた巨人戦では、日本ハムのドラフト5位ルーキー・柿木蓮投手が2対2の5回に登板。2イニングを完璧に抑え、7回に味方が勝ち越して初勝利を挙げています。そして同じ大阪桐蔭の中日ドラ1・根尾昂選手は、きのうのオリックス戦(ナゴヤ)で右前打を放ったとか。先に1軍のオープン戦でヒットが出たものの、“公式戦”としては開幕7打席目での初安打でした。
まだ公式戦が始まっていない阪神ファームは、きのう16日も鳴尾浜で交流試合を行いました。相手は社会人のジェイプロジェクトです。チーム発足が2009年で、初めて鳴尾浜に迎えたのは2011年7月9日。この時に投げたのは白仁田、杉山、玉置、高田、ザラテで2対1の勝利。次は2012年5月1日で蕭、吉岡、伊藤和、玉置が投げ、狩野と野原祐のホームランなどで12対1の勝ち。そして2013年4月28日は島本、清原、金田が登板して3対1で勝っています(この段落は敬称略)。今回はそれ以来、6年ぶりの対戦なんですね。
試合結果は、前日の大阪商業大学戦とまったく同じ、散発4安打で1対0の勝利でした。その4安打のうち3つが、そのあと盗塁死や牽制死で…なかなかチャンスを生かせていません。しかも、考えてみたら特別ルールで行った9回裏に1本出たので、本当は3安打ということ。試合後は平田勝男監督も苦笑いでした。なお唯一の得点は島田海吏選手の犠飛によるもの。投手陣は6人による完封リレーで、馬場皐輔投手が調整の1イニング、湯浅京己投手はプロ初の2イニングを投げました。では試合結果からご覧ください。
《交流試合》3月16日
阪神- ジェイプロジェクト (鳴尾浜)
ジェ 000 000 000 = 0
阪神 000 010 000 = 1
※特別ルール ※9回裏まで
◆バッテリー
【阪神】岩田-馬場-谷川-湯浅‐牧-斎藤 / 小宮山-長坂(4回~)-片山(7回~)
【ジェ】白崎(4回)-上原(0/3回)-國廣(1回)-古屋(1回)-小森(1回)-保坂(1回)-平岡(1回) / 伊藤弘-岡田(6回~)-松坂(8回~)
◆二塁打 ジ:伊藤弘
◆盗塁 ジ:倉本
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)
1]中:江越 (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0)
2]遊二:植田 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃打二:熊谷 (1-0-0 / 0-1 / 0 / 0)
3]左:板山 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
4]三:陽川 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0)
5]一:山崎 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃一指:森越 (2-1-0 / 1-0 / 0 / 0)
6]指:俊介 (0-0-0 / 0-2 / 0 / 0)
〃一:藤谷 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
7]二:荒木 (1-0-0 / 0-1 / 0 / 0)
〃遊:小幡 (1-0-0 / 0-1 / 0 / 0)
8]捕:小宮山 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃捕:長坂 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)
〃捕:片山 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0)
9]右:島田 (1-1-1 / 0-1 / 0 / 0)
◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ
岩田 3回 25球 (2-2-0 / 0-0) 142
馬場 1回 7球 (0-0-0 / 0-0) 143
谷川 1回 13球 (1-0-0 / 0-0) 144
湯浅 2回 22球 (1-0-1 / 0-0) 147
牧 1回 12球 (0-0-1 / 0-0) 142
斎藤 1回 8球 (1-0-0 / 0-0) 151
※最速はチームのスピードガンで計測したもの。
<試合経過>※敬称略
まず投手陣。先発の岩田は1回、先頭の田中に初球を左前打されますが、次のバントで2-6-3の併殺とするなど3人で片づけ、2回は三者凡退。3回は1死から8番・伊藤弘に左翼線二塁打、しかし三塁でタッチアウト。この回も3人で終了し、岩田は3回を9人で切って取りました。4回は馬場と長坂のバッテリー。わずか7球で三ゴロ、二ゴロ、右飛の三者凡退です。
5回の谷川は先頭の4番・橋本恭に右前打、ついで犠打と二ゴロで2死三塁とするも、最後は投ゴロで無失点でした。6回からは湯浅が登板して簡単に2死を取りながら、ストレートの四球を与え二盗も許しますが、次は遊ゴロで3死。初の回またぎとなった7回は先頭の3番・伊藤大に右前打されると、この回からマスクをかぶった片山が盗塁を阻止!橋本恭を中飛に、5番・今津を遊ゴロと後続を断ちました。
8回の牧は2死を取ってからストレートの四球を与えるも無失点。9回は斎藤が登板して、先頭の田中に三塁線へのヒットを許しますが、代打・前田は三ゴロ併殺打。最後は二ゴロで、打者3人、8球で終了です。
続いて攻撃。1回は2三振を奪われて三者凡退、2回は2死から俊介の四球のみ、3回は島田が初安打となる左前打を放ちますが、二盗を阻止されるなど3人で終了。これは本人も「しっかり足が入っていた」というように微妙なタイミングのアウトでしたね。4回は先頭の植田がショートへの内野安打で出るも盗塁失敗、2死後に陽川が中前打したけれど得点にはつながりません。
5回に登板した2人目の投手から俊介が四球を選び、続く荒木に2ボールとなったところでまた投手が交代します。結局、荒木も四球で無死一、二塁となって長坂は初球をバント。これをキャッチャーが捕って三塁へ送球するも、セーフ!犠打野選で無死満塁となり、島田が初球を打ち上げて中犠飛。なおも1死一、三塁の場面で江越は投ゴロ併殺打に倒れますが、この回ノーヒットで1点を先取しました。
6回は先頭で四球を選んだ代打の熊谷ですが、盗塁は失敗。7回は三者凡退。8回は島田の死球、植田がサードのエラーで出て2死一、三塁としたものの追加点なし。特別ルールで行われた9回、1死から森越が中前打して2死後に小幡の四球で一、二塁となり、そのあと片山のところで森越がキャッチャーからの送球で刺され、試合終了です。
岩田投手、馬場投手は感覚良好
試合後のコメントをご紹介しましょう。きょうは投手のみになります。岩田投手は「よかったです。感覚もいいですし、指に“乗っている”時間があった。こういうのを大事にしていきたい。開幕ローテ?そこは気にしていません。早く1軍で投げられるように、とは思っていますが。早く上がって投げられるように、しっかり準備していきたいです」と話しました。
ついで馬場投手。次回登板が1軍のオープン戦で、開幕ローテを目指しての先発になるとみられ、その調整だったのでしょう。投げ終わって「テンポよく自分のピッチングができました。打者との感覚も確かめられたので」と言っています。わずか7球でしたが「足りない分はブルペンで補ったので大丈夫です」とのこと。次までの間に1イニングでも投げられてよかった?と聞いたら「そうですね!」と笑顔。いい状態で開幕を迎えてください。
平田監督はこの2人について「岩田はこれくらい投げて当然。ゴロアウトが多かった。もうちょっと変化球の質や精度を上げてほしいけどね。いきなり三塁線に打たれた、あれをレフトフライやファウルにするとか。空振りとは言わんけど、ファウルさせられるぐらいに。初球の入り方とか、スピードとキレがほしいね。馬場は余裕だな。1イニングだけ、感覚だけという話だから」という言葉。
力を入れるのはリリースの瞬間だけ
牧丈一郎投手は7日の近畿大学戦で投げた際、右くるぶしに打球を受け1球だけで降板しました。でも骨に問題はなく、きのうが復帰戦となっています。ちょっとフォームが変わった?と聞いたところ「変えましたよ。こうしていたのを、こういう感じに」と腕を振る動作で説明してくれたのですが…違いはわかったものの、それを言葉で表現するとどうなるのか?なぜ変えたのか?
「形が変わったというより感覚ですね。今まで全部に力を入れてガーッと投げていたので、リリースの時だけに力を入れるという感覚。今、試してやっているとこです」。なるほど、イメージは理解できました。フォームが変わったというほど大きなことでもなさそうな。「それよりフォアボールが最悪!しかもストレートのフォアボールなんて」と、2アウトからの与四球を悔やむ牧投手です。
そのあと話を聞いた斎藤友貴哉投手が、同じことをわかりやすく言ってくれました。「力んでしまうので、力を抜くことを考えています。リリースの時だけ力を入れるように。前はちょっとガチガチだったので…。それで球がいかなくなってしまったので、力感なくスッといくようにしました。やろうとしていることは、できているかなと思います」。この日は最速151キロを出したのですが、数字ほどの実感はなかったもよう。
ここでウエートルームへ向かう尾仲祐哉投手が横を通過しながら「先頭、先頭」と言ってニヤリ。すると斎藤投手が「はいっ!」と即座に返事をしたので笑ってしまいました。気を取り直して「力を抜いて真っすぐがいくようなのを目指して、キャンプ後に取り組んでいます。これが完成したら…」と自分自身に期待を込めた締めくくり。我々も楽しみにしています。
「手応えよりも課題の方が多い」
最後は湯浅投手。登板を振り返って「結果的に抑えることはできましたが、自分の中ではフォームもバラバラだし、タイミングも合っていなかったので、修正していきたいです」とコメント。「上体が先にいってしまって、下半身がうまく使えていない。それで頭も振ってしまった。それを筒井さん(スカウト)に言われました。自分でもわかっていたんですけど」
プロに入って最長の2イニング、初めてのイニングまたぎで手応えは?「手応えより課題ですね。まだ思ったように投げられていないので、課題の方が多いです。感覚的にも、投げていてボールもそんなにいっていないなと、ベース盤の上で伸びるんじゃなく落ちる感じ。球速よりもフォームを意識して投げたかったけど、指にもかからなかった」と反省しきりでした。
平田監督が「湯浅はスピードガンほど速く感じなかったかな。力むからね。でも楽しみだよ。もっと変化球の精度が上がってくると真っすぐも生きる。湯浅とか牧とかは、これから成長していくので」と話していたように、伸びしろに期待がいっぱいの19歳です。
すべての課題は、それをクリアして前へ進んでいくためにあるもの。1つ1つ“ぶち破って”いきましょう!
<掲載写真は筆者撮影>