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いざ爽快な稜線歩きへ! 丹沢縦走登山ロングコース「丹沢三峰・丹沢主稜」トレッキング(DAY2)

上町嵩広登山レポーター

<マイナー登山道をあるく>(0006)
丹沢山から西へ。神奈川県最高峰・蛭ヶ岳を越えて丹沢主稜を西丹沢へ下りていく登山ルート。日本アルプスさながらの遠景と見晴しも楽しめる縦走コースです。

<趣意>
あまりメジャーではないマイナーな登山道。ちょっと気になってはいたもののなかなか行く機会のなかった山道を歩いてみました。

<丹沢主稜の魅力>

(1)神奈川県最高峰の蛭ヶ岳
丹沢山から西へ伸びる丹沢主稜の尾根に神奈川県最高峰・蛭ヶ岳があります。山頂からの展望に優れており、夜ともなると東京・横浜方面の夜景が素晴らしいです。
(2)東京近郊で歩き応え十分の縦走登山を楽しめる
丹沢山から蛭ヶ岳そして檜洞丸へ向かいますが、その間にもいくつもの小さなピークが連続しますので登降を何度も繰り返すため縦走登山としての歩き応えを満喫できます。

蛭ヶ岳等の並ぶ丹沢主稜を望む
蛭ヶ岳等の並ぶ丹沢主稜を望む

<概要>

丹沢主稜 (たんざわしゅりょう)
所在地: 神奈川県相模原市緑区、愛甲郡清川村
丹沢山から西へ伸びて西丹沢に至る稜線の縦走ルート。
主要なピークは、丹沢山(1567m)、蛭ヶ岳(1673m)と檜洞丸(1601m)。丹沢山は日本百名山。
檜洞丸から西丹沢ビジターセンターへ至る尾根道は「ツツジ新道」と呼ばれ、シロヤシオなどのツツジの名所であり、最盛期(平年5月下旬~6月上旬)は多くの登山者が訪れる。

<登山コース>

宮ヶ瀬湖を起点に南西へ丹沢三峰を越えて丹沢山を登り、その先は丹沢主稜を西へ入り蛭ヶ岳そして檜洞丸を縦走して西丹沢ビジターセンターへ下山するルートです。
※DAY1(宮ヶ瀬湖から丹沢三峰を経由して丹沢山まで)は次のリンク先をご覧ください。
「お食事が楽しみな山小屋泊まり 丹沢縦走登山ロングコース「丹沢三峰・丹沢主稜」トレッキング(DAY1)」 (Yahoo!ニュース)
●DAY2
2日目は丹沢山から丹沢主稜を西に進み、蛭ヶ岳・檜洞丸を経由して西丹沢ビジターセンターへ下山します。

みやま山荘の朝食は炊き込みご飯です
みやま山荘の朝食は炊き込みご飯です

夜明けとみやま山荘
夜明けとみやま山荘

蛭ヶ岳方面を目指す
蛭ヶ岳方面を目指す

みやま山荘の朝食は炊き込みご飯(これも毎度おなじみのようです)。やさしい味わいで食べやすい。長い一日のための腹ごしらえをしてスタートします。空が白々としてきたら出発です。稜線ですので背の高い木は少なく笹原が広がっていますので開放感や展望が素晴らしい。早朝の清涼な空気もあいまってとても気持ちがよいです。スケール感はちょっと異なりますが、まるで北アルプスの稜線歩きのような趣が感じられます。東京近郊では奥多摩や秩父にはないシチュエーションではないでしょうか。

丹沢主稜に朝日が昇る
丹沢主稜に朝日が昇る

朝日に照らされる不動ノ峰休憩所
朝日に照らされる不動ノ峰休憩所

丹沢主稜からの遠望
丹沢主稜からの遠望

鬼ヶ岩
鬼ヶ岩

朝日を背に浴びながら不動ノ峰までやってきます。丹沢は名水の地ですが、登山道にはほとんど水場がありません。この不動ノ峰には地図上に水場がマークされています(すこし北側に下ります)が、水量が細いので期待しない方がいいと思います。水は山小屋で購入した方がいいのではないでしょうか。パノラマの遠望を見渡しながら先を進みます。笹原を抜けると鬼ヶ岩という岩場にたどりつきます。鎖もかかっています。狭隘なので投稿ですれ違うときには注意が必要です。

鬼ヶ岩の岩稜を振り返る
鬼ヶ岩の岩稜を振り返る

鬼ヶ岩の岩稜の遠景
鬼ヶ岩の岩稜の遠景

蛭ヶ岳頂上
蛭ヶ岳頂上

蛭ヶ岳から麓の景観
蛭ヶ岳から麓の景観

岩場を抜けるとふたたび笹原の道になります。さらに先へ進むと蛭ヶ岳に到着です。蛭ヶ岳は神奈川県最高峰になります。富士山を中心に周囲をぐるりと見渡すことができる景観はたいへん見事です。

蛭ヶ岳山荘
蛭ヶ岳山荘

檜洞丸への稜線 いったん大下りする
檜洞丸への稜線 いったん大下りする

大下りの斜面はすこし荒れている
大下りの斜面はすこし荒れている

神ノ川乗越
神ノ川乗越

蛭ヶ岳のベンチで一息ついてさらに西へ今度は檜洞丸を目指します。山頂からいったん大下りです。下った高さをまた登り返させられると思うとちょっとクヤシイ…。ミカゲ沢ノ頭まで登り上げて臼ヶ岳まで来ます。ベンチがあって休憩適地になっています。そこから樹林帯の中を下ります。神ノ川乗越までやってきました。ここにも水場が地図上にマークされています(片道10分くらい)が不動ノ峰の水場と同様に期待しない方がいいかと思われます。

構築された登山道
構築された登山道

檜洞丸への最後の直登
檜洞丸への最後の直登

檜洞丸直下から来た道を振り返る
檜洞丸直下から来た道を振り返る

乗越からふたたび登り返します。この先は道が崩落しているところがあります。もちろん補強されて道が構築されているので通行に支障はありません。神川へ繋がる源流尾根の分岐を過ぎるといよいよ檜洞丸の斜面に取り付きます。まだまだ先ですが、いったん登り上げて平坦地に出てさらに檜洞丸を目指してぐいぐいと上がっていきます。今回の登山ルートの最後の踏ん張り所といったところでしょうか。

青ヶ岳山荘
青ヶ岳山荘

檜洞丸山頂
檜洞丸山頂

檜洞丸山頂から富士山
檜洞丸山頂から富士山

ときおり背後の来た山並みを振り返り呼吸を整えます。ようやく山頂直下の青ヶ岳山荘が見えてきます。小屋前のベンチは営業用(宿泊者向け)です。ここまでくればもう一息です。檜洞丸頂上は思いのほか広く、ベンチがいくつもあります。富士山の眺めも嬉しい。富士山は何度見てもやはり素晴らしいと思い直します。

檜洞丸から西丹沢ビジターセンターへ下る
檜洞丸から西丹沢ビジターセンターへ下る

ツツジ新道を下る すこしガレた斜面
ツツジ新道を下る すこしガレた斜面

ゴーラ沢出合への階段
ゴーラ沢出合への階段

山頂から西丹沢ビジターセンターへ向けて下山開始です。木道を抜けるとガレた下り坂がひたすら続きます。この先はツツジ新道と呼ばれており平年ですと5月後半から6月前半の花の最盛期になるとミツバツツジやシロヤシオなどが咲き誇り、お花をお目当ての登山者で賑わいます。ひたすら下り、やがて左右に沢が見えてきます。階段を下りるとゴーラ沢出合にまで下りてきました。

ゴーラ沢出合
ゴーラ沢出合

沢を高巻きする道
沢を高巻きする道

蛭ヶ岳方面を振り返る
蛭ヶ岳方面を振り返る

登山道から道路に合流
登山道から道路に合流

西丹沢ビジターセンター
西丹沢ビジターセンター

ゴーラ沢を渡渉して対岸へ出ます。いったん沢まで下りましたが、この先は沢を高巻きするように谷へ上がってトラバースするように付けられた道を歩きます。のどかな雰囲気の道~暗めの谷へ下りていく道を下りきると舗装された車道に出ます。しばらく歩き、キャンプ場を過ぎるとその先が西丹沢ビジターセンターです。今回はここがゴールです。

[行程表]

※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
丹沢山・みやま山荘→ 不動ノ峰(40分)→ 鬼ヶ岩(40分)→ 蛭ヶ岳(40分)→ 臼ヶ岳(70分)→ 金山谷乗越(70分)→ 檜洞丸(60分)→ 石棚山分岐(20分)→ 展望園地(40分)→ ゴーラ沢出合(40分)→ 西丹沢ビジターセンター(40分)
コースタイム/ 2日目:7時間程度
標高差/ 1100m程度

[登山コースの補足]

道標は要所に設置されていますので迷うことはほとんどないと思われます。
●水場やトイレなど
水場は不動ノ峰と神ノ川乗越そばにありますが、期待しない方がいいと思います。
トイレは丹沢山、青ヶ根山荘および西丹沢ビジターセンターにあります。
不動ノ峰に休憩所(小屋)があります。

[難易度・危険箇所など]

とくに大きな難所や危険箇所などはほとんどありません。
何度も登り返しを繰り返しますのでけっこう体力を要求されます。
ゴールデンウィーク頃から秋口までヤマビルが出ます。
●エスケープルート
丹沢山から丹沢主稜に入らずに塔ノ岳から大倉尾根を大倉バス停まで下ることができます。蛭ヶ岳から先へ進んだ場合、西丹沢ビジターセンターまで下る必要があります。蛭ヶ岳で元来た道を戻り大倉バス停へ下山することもひとつの選択肢になります。

[アクセス]

「西丹沢ビジターセンター」バス停から路線バス(富士急モビリティ)で小田急小田原線「新松田」駅まで約70分。バスはJR御殿場線「谷峨」駅および「山北」駅にも止まります。

[コースマップ]

「丹沢・大山安全登山マップ」 (山と渓谷オンライン)

<こんな方にオススメ>

(1)縦走登山が好き
(2)キレイな花が見られる山に登りたい
(3)食事の美味しい山小屋に泊まりたい

<補足情報>

[売店等]

登山道上に売店等はありません。
途中にある山小屋の蛭ヶ岳山荘と青ヶ岳山荘でドリンク類を購入することができます。
西丹沢ビジターセンターでドリンク類とアイスクリームが販売しています。
西丹沢ビジターセンターそばのキャンプ場に自動販売機があります。

[お食事処]

「新松田」駅・「松田」駅そばに飲食店が複数あります。

[日帰り温泉など]

中川温泉ぶなの湯
さくらの湯 (山北駅)
健楽の湯 (松田駅)
湯花楽 秦野店
弘法の里湯 (鶴巻温泉駅)

[山小屋などの宿泊施設]

蛭ヶ岳山荘
青ヶ岳山荘
西丹沢ビジターセンターの周辺にキャンプ場が複数あります。
中川温泉に複数の温泉旅館があります。

[付近の山]

塔ノ岳
鍋割山
大野山
丹沢主脈
丹沢三峰
畦ヶ丸

[そのほかの補足]

●西丹沢ビジターセンター
西丹沢地域における登山等の情報基地。丹沢の自然・環境等の解説コーナーあり。更衣室・トイレ併設。ドリンク類とアイスクリームの販売あり。
●中川温泉
丹沢湖の北方にある温泉。武田信玄の隠し湯ともいわれる。泉質は高アルカリ性。

<私的な雑感>

丹沢主稜は日本アルプス縦走気分も楽しめるなかなか歩き応えのある登山コースという印象です。

丹沢山と檜洞丸の間には神奈川県最高峰の蛭ヶ岳を始めそのほかにも小さなピークがいくつもあり、何度も登降を繰り返します。厳しくハードな登り返しというよりも少々大きめな起伏が続く稜線歩きという雰囲気です。また遠くの遠望も臨むことができますので景観を楽しみながら、縦走を存分に満喫できる体験ができます。

北アルプスなどの本格的な縦走と比較すれば、長大というほどではありませんが、歩き応えはなかなか楽しめます。一方で何度も下りては登るを繰り返すため、相応の体力は要求されます。とはいえ、要所要所に休憩適地もありますので自分のペースで歩ければ大きな問題はないかと思われます。

難点としてはアクセスがすこし不便なところでしょうか。今回の場合ですと宮ヶ瀬湖から入りましたが、本厚木駅から宮ヶ瀬湖への路線バスはともかく、西丹沢ビジターセンターから新松田駅へのバスの本数はとても限られています。下山とバスのタイミングが合わないと手持ち無沙汰で西丹沢ビジターセンターあたりで時間を潰すことになります。

稜線歩きですので眺望には恵まれています。とくに丹沢山から蛭ヶ岳の間の山並みの景観は1500m程度の峰々とは思えない見栄えです。さながら北アルプスの表銀座を歩いているような気分にもさせてくれます。

丹沢主稜は東京近郊では貴重な縦走登山コースといえると思います。北アルプスなどの高山帯の本格的な縦走登山にこれから取り組み始める方には最適な入門コースと言えるかもしれません。

<備考>

丹沢大山国定公園 (神奈川県)
丹沢大山ナビ (神奈川県)
西丹沢ビジターセンター (丹沢大山国定公園・県立丹沢大山自然公園)

<関連記事>

森閑なる西丹沢の山へ 「畦ヶ丸」トレッキング △マイナー登山道を歩く△(0004) (Yahoo!ニュース)

(2024/05/18 上町嵩広)

登山レポーター

登山やトレッキングに関する極私的な観点からの感想や記録のレポートがメインです。登山道の情報だけでなくお食事処や立寄り湯などの関連情報もお伝えしていきたいと思います。皆様の今後の山行のお役に立ち、またこれから登山を始めたいと考えていらっしゃる方のためになれば幸いです。登山歴は15年ほど。普段は奥多摩や丹沢周辺に出没し、八ヶ岳や北アルプスにも出張ります。雪山やテント泊もやっています。ブログ「note」内でマガジン『登山の魅力』や『歴史に連なる山登り』なども掲載しております。よかったら併せてご覧ください。好きな山は「編笠山」(八ヶ岳)。山の抱負は「ちょっとだけ背伸びした山を登ってみる」

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