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エース退団のオリオールズが加えたのは35歳の菅野と41歳のモートン。これでローテーションは完成!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
チャーリー・モートン Sep 4, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、ボルティモア・オリオールズからFAになったコービン・バーンズは、アリゾナ・ダイヤモンドバックスと6年2億1000万ドル(2025~30年)の契約を交わした。エースのバーンズがいなくなったオリオールズは、菅野智之に続き、チャーリー・モートンをローテーションに加えた。

 ESPNのジェフ・パッサンによると、モートンの契約は1年1500万ドルだという。これは、菅野が得た1年1300万ドルの契約とそう違わない。バーンズの契約は年平均3500万ドルなので、モートンと菅野の合計額は、それを下回る。2025年のシーズン年齢は、バーンズが30歳、菅野とモートンは35歳と41歳だ。

 現時点のメンバーからすると、オリオールズのローテーションは、ザック・エフリングレイソン・ロドリゲス、モートン、菅野、ディーン・クレイマーの5人が有力だろう。

 アルバート・スアレスは、ブルペンに回ると思われる。あとの候補――現時点ではマイナーリーグで開幕を迎えそうな先発投手たち――は、トレバー・ロジャースケイド・ポービッチチェイス・マクダーモットブランドン・ヤングといったところだ。シーズン後半には、カイル・ブラディッシュタイラー・ウェルズが復帰する可能性もある。

 バーンズに代わるエースが不在、という見方もできそうだが、人数としては十分な気もする。

 バーンズと2025年のローテーションに並びそうな4人――メジャーデビュー前の菅野を除く――が2022年以降に記録したスタッツは、以下のとおり。

筆者作成
筆者作成

 4月に31歳となるエフリンは、昨夏のトレードでタンパベイ・レイズからオリオールズに移籍後、9登板の55.1イニングで防御率2.60を記録した。また、ここ3シーズンのFIP3.41は、わずかながらバーンズを下回っている。FIPは、フィールディング・インディペンデント・ピッチングの略。ざっくり説明すると、守備の要素をできる限り排除した防御率だ。

 25歳のロドリゲスは、メジャーリーグ3年目にブレイクするかもしれない。2018年のドラフトで全体11位指名を受け、2022年の開幕前と2023年の開幕前には、ベースボール・アメリカ、ベースボール・プロスペクタス、MLBパイプライン(MLB.com)のいずれのプロスペクト・ランキングにおいても、トップ10にランクインしていた。2024年の20登板中14登板は自責点2以下で、自責点5以上は3登板しかなかった。

 エフリンとロドリゲスが二本柱を形成し、モートン、菅野、クレイマーが揃って防御率4.00前後を記録すれば、悪くないローテーションとなる。2018年以降の7シーズン中、モートンが規定投球回に届かなかったのは、短縮シーズンの2020年だけだ。

 なお、オリオールズがさらに先発投手を手に入れようとするのかどうかは、まだわからない。ジ・アスレティックのウィル・サモンとケイティ・ウーは、モートンの入団が決まる前に、オリオールズとジャック・フレアティは、互いに再結合に前向き、と報じていた。

 フレアティは、2023年の夏にセントルイス・カーディナルスからオリオールズへ移り、この時は34.2イニングで防御率6.75ながら、2024年はデトロイト・タイガースとロサンゼルス・ドジャースで計162.0イニングを投げ、防御率3.17を記録した。

 フレアティを迎え入れるのではなく、トレードで先発投手を獲得することも考えられる。

 オリオールズは、2年続けてポストシーズンに進出している。打線からは、2024年に44本塁打のアンソニー・サンタンデアがFAになったが、ボストン・レッドソックスで31本塁打のタイラー・オニールと3年4950万ドル(2025~27年)の契約を交わした。サンタンデアの球団は、決まっていない。

 サンタンデアとオニールは、どちらも外野手だ。彼らについては、こちらで比較した。

「44本塁打の外野手がFAとなったオリオールズに31本塁打の外野手が入団。そのプラスマイナスは…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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