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父は一度も移籍せず殿堂入り。息子は7ヵ月に5球団を渡り歩く

宇根夏樹ベースボール・ライター
キャバン・ビジオ Jun 25, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 クレイグ・ビジオは、1987年のドラフトで全体22位指名を受け、ヒューストン・アストロズに入団した。そして、引退するまで、アストロズ一筋に過ごした。

 1988~2007年の20シーズンに、3060安打、668二塁打、291本塁打、414盗塁などを記録し、3度目の記者投票で殿堂に迎えられた。得票率は、68.2%→74.8%→82.7%と推移。2度目の得票は、殿堂入りに2票足りなかった。

クレイグ・ビジオ/手前はジョニー・デーモン June 16,1997
クレイグ・ビジオ/手前はジョニー・デーモン June 16,1997写真:ロイター/アフロ

 息子のキャバン・ビジオは、ここ7ヵ月に5球団を渡り歩いている。昨年の6月12日にトロント・ブルージェイズからロサンゼルス・ドジャースへ移ったのを皮切りに、サンフランシスコ・ジャイアンツとアトランタ・ブレーブスを経て――ジャイアンツではメジャーリーグ出場なし――1月5日にカンザスシティ・ロイヤルズとマイナーリーグ契約を交わした。ちなみに、その前の移籍は皆無だ。2016年のドラフトで、ブルージェイズから5巡目・全体162位指名を受けた。

 内外野を守ることができ、四球率は6シーズンとも10%を下回ったことがない。ただ、センターの守備についたのは、2020年の3試合だけだ。遊撃はさらに少なく、2023年の1イニングに過ぎない。また、2024年は打率が.197と低く、四球率10.7%を記録したものの、出塁率は.314にとどまった。その前の2023年は、打率.235、四球率11.8%、出塁率.340。打率は低めながら、出塁率は悪くなかった。

 ビジオ親子のスタッツを比べると、最初の2シーズンは、父が1988~89年に184試合で打率.247と出塁率.319、16本塁打と27盗塁、OPS.710、息子は2019~20年に159試合で打率.240と出塁率.368、24本塁打と20盗塁、OPS.798だった。一方、その後の4シーズンは、父が616試合で打率.284と出塁率.364、35本塁打と97盗塁、OPS.756、息子は365試合で打率.216と出塁率.325、27本塁打と12盗塁、OPS.673だ。ざっくり言うと、父の数値は上昇し、息子の数値は下降している。

 息子がロイヤルズの開幕ロースターに入れるかどうかは、わからない。開幕前にロイヤルズを退団し、渡り歩く球団の数は、さらに増えていく可能性もある。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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