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地区優勝のオフに31本塁打の一塁手と好守の二塁手をトレードで放出。めざすは地区連覇ではないのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
アンドレス・ヒメネス(左)とジョシュ・ネイラー Jun 11, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 先月、クリーブランド・ガーディアンズは、二塁手と一塁手を立て続けにトレードで手放した。3シーズン連続ゴールドグラブのアンドレス・ヒメネスは、トロント・ブルージェイズへ移籍。2024年に31本のホームランを打ったジョシュ・ネイラーは、アリゾナ・ダイヤモンドバックスへ移った。

 2020年以降、ガーディアンズは、ポストシーズン進出とシーズン負け越しを交互に繰り返している。各シーズンの勝率は.583→.494→.568→.469→.571と推移。2020年はワイルドカードをゲットし、2022年と2024年は地区優勝を飾った。

 このサイクルに従うなら、2025年は負け越しとなる。もっとも、そうするつもりはないはずだ。

 ヒメネスの放出は、金銭とプロスペクトが理由だと思われる。ヒメネスの契約は、来シーズンが7年1億650万ドル(2023~29年)の3年目だ。あと9500万ドル以上の支払いが残っている。また、ガーディアンズは、昨年のドラフトで、二塁手のトラビス・バザーナを全体1位に指名した。バザーナが台頭するまでは、ダニエル・シュニーマンホアン・ブリトーらでつなぐか、今オフにベテランの二塁手を1~2年の契約で手に入れるのではないだろうか。

 一方、ネイラーは、来オフにFAとなる。ガーディアンズは、ネイラーの後任の一塁手として、ミネソタ・ツインズからFAになったカルロス・サンタナと1年1200万ドルの契約を交わした。2025年のネイラーの年俸は、サンタナと同水準になりそうだ。2024年と2025年の一塁手を比べると、ホームランは減る可能性が高いものの、支払う金額を増やすことなく、若手の投手1人とドラフト指名権1つを――ネイラーの見返りとして――得た、という見方もできる。

 なお、ガーディアンズは、球団からFAとなった選手のうち、先発投手のシェーン・ビーバーと捕手のオースティン・ヘッジスを、それぞれ、2年2600万ドルと1年400万ドルの契約で呼び戻した。

 ビーバーは、ここ5シーズンとも、ガーディアンズで開幕投手を務めている。2024年は、最初の2登板とも6イニング無失点ながら、肘を痛めて4月中旬にトミー・ジョン手術を受けた。うまくいけば、2025年の開幕あるいはシーズン序盤からローテーションに並ぶことができる。契約の内訳は、2025年が年俸1000万ドル、2026年は年俸1600万ドル(解約金400万ドル)の選手オプションだ。ヘッジスは、若手のボー・ネイラーのバックアップを務める。ボーは、ジョシュの弟だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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