「次は愛子も連れてきます」と両陛下が笑顔に 雅子さまの恩師と語り合った「昆虫」の世界とは?
来月初旬、代々の皇后に受け継がれてきた、皇居内での御養蚕が始まる。
令和になって雅子さまは熱心に御養蚕に取り組まれ、毎年、春にはふ化したばかりの数ミリの蚕を、鳥の羽で掃いて桑の葉に移す「掃立て」と言う作業を行うという。
今年もまた両陛下と愛子さまは、ご家族で仲睦まじく、小さな蚕のお世話をされるのだろう。
この御養蚕について、去年、両陛下と話したのが、雅子さまにとって田園調布雙葉小学校時代の恩師であり、所属されていた生物クラブの顧問、日本蛾類学会前会長の岸田泰則氏。
コロナの影響などで長らくお会いできず、久々に再会された雅子さまは、大好きな「昆虫」についてどんなことを話されたのだろうか?
◆雅子さまとの再会
岸田氏は蛾類の専門家であることから、国立科学博物館による皇居の生物調査に携わっており、定期的に皇居を訪れ、そこに生息するさまざまな種類の蛾を採集し、調査を行っている。
そんな岸田氏が雅子さまと再会したのは、去年9月13日。調査のために皇居へ行った際、両陛下のほうから採集している場所まで来てくださることになったが、その時間は夜の9時。なにしろ蛾の採集は、うっそうと生い茂った吹上御苑の中で、夜に明るいライトを灯火し、光源によってきた蛾を捕獲するため、この時間になってしまったのだ。
わざわざ両陛下自ら足を運んでくださったことから、岸田氏はとても恐縮しつつも、そこは雅子さまにとってかつての恩師。旧交を温めつつ、皇居内の昆虫について話題はつきなかったようだ。
「両陛下とも生物がとてもお好きですね。もちろん雅子さまは蚕を飼われていますから、生物に興味があるんですよ。だから、その日に採集したイモ虫を見ても嫌だということはなく、すごく興味深く、『面白い形をしていますね』など、いろんな質問をされました」(岸田氏)
実は岸田氏は、小学校時代の雅子さまについて、「生き物が好きな子供」という印象が強いという。夏休みの間も、学校で飼っていたウサギの世話をするため、毎日のように学校に通い、触れることが苦手な子供が多い昆虫や爬虫類も、雅子さまはいとおしむかのように掌で包み込み、愛情をかけていらっしゃった。
「当時、雅子さまは自分の家からイモリを持って来ていましたね。イモリを自分の手元で持って、授業中は生物室の水槽の中に入れていました。私が山で捕まえてきたヘビも、雅子さまが昼休みに持って行って、一緒に遊んでいましたね」(岸田氏)
◆岸田氏に見せたかった、陛下が撮影された写真とは…
その日、両陛下が岸田氏の採集の現場を訪問されたのは、ある目的があったようだ。
「ぜひとも岸田先生にお見せしたいと、陛下がおっしゃっていましたので…」
と、雅子さまがさりげなく水を向けると、陛下がポケットから一枚の写真を取り出された。
それは、去年8月に天皇ご一家で那須御用邸に静養中、陛下が撮影された蛾の写真だったという。
褐色の羽根に、不規則な帯状の紋があり、ところどころに黒点があるのが特徴の蛾で、陛下は珍しいからと写真に撮られたそうだ。
岸田氏は一目見るなり、「コウモリガですね」と、すぐに答えたという。
両陛下と岸田氏は、「蛾」や「昆虫」の話題を中心に、立ち話で1時間ほど過ごされて、その帰り際に陛下が、
「次は愛子も連れてきます」
と話されたとか。
この時は9月だったので、愛子さまは卒業論文の執筆でお忙しかったと思われるが、幼稚園生だった時の愛子さまのエピソードを、以前、雅子さまは岸田氏にこう語られた。
「愛子は御所の庭でダンゴムシを見つけると、捕まえてきて飼育したりして、自然が大好きなんです」
愛子さまも、皇居の自然について大いに関心を持っていらっしゃるようだ。
岸田氏は御養蚕についても聞いたところ、両陛下は愛子さまも加わって、ご家族3人で取り組んでいることを笑顔で話されたという。
今年もまた、御養蚕の時期がやって来る。
桑の葉を食む微かな音に耳を傾けながら、美しい絹糸を生み出す蚕の神秘に目を輝かせながら、お世話をされる雅子さまのご様子は、今も生きとし生けるものへの慈愛に満ちている。
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