「怖がるあなたの代わりに私たちがLGBTパレードに参加する」ノルウェー首相も呼びかけ
「世間からの反応が怖くてパレードに参加できないと言うこの人の代わりに、あなたが歩くことはできるのではないでしょうか?」。ノルウェーのアーナ・ソールバルグ首相はまっすぐに目の前を見つめて問いかけた。
周囲の目を気にして、性の多様性を示すパレードに参加できない当事者の代わりに、私たちが参加しよう。ノルウェーのプライド・パレードの動画が注目を集めている。国民520万人の国で、動画はすでに200万人に視聴された。
セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)が、差別や偏見にさらされることなく生きていける社会の実現を目指すプライド・ウィークはノルウェーで6月末に開催される。
目玉イベントはカール・ヨハン通りをみんなで行進する7月1日の「プライド・パレード」。参加は自由で、政治家、警察、消防士、教師、父親や母親など様々な人々が参加する。LGBTではない人々も支持表明のために参加するのが特徴だ。
LGBT本人は世間からの偏見を恐れて、メディアや多くの人々の目に触れるパレードには参加しない・できないこともある。主催者のFRIは、「私の代わりに歩いて」というキャンペーンを開始した。企画には首相、政治家や芸能人などの著名人を筆頭に一般市民も参加。動画は複数あり、SNSでシェアされている。
LGBTの人々の声を首相たちが読み上げ、「この人たちの代わりに、私たちがパレードに参加しよう」と呼び掛ける。
ノルウェーの人気高校生ドラマ『スカム』のシーズン2で圧倒的な人気を誇った俳優トーマス・ヘイスもキャンペーンの顔となっている。
以下、キャンペーンで反映されたLGBTの人々の声。誰もが投稿可能で、公式HPでは次々と当事者からの声が増え続けている。
- 私は両性愛者だから、特に世間から外れている気がする
- 同性愛者だとキリスト教徒の家族に知られることが怖くて、パレードに参加する勇気はない
- 友達を失うことが怖い
- 「同性愛者は病気だ」と言う友達がいる
- 周囲の目を怖がる弱虫の自分が嫌い
- カミングアウトしないようにと上司に忠告された
- イスラム教徒の私は、女性が好きだとは絶対口にはできない
- いじめられるのが怖い
- 幼稚園に通う息子がいじめられるのではないかと心配して、私がカミングアウトすることは難しい
- ロールモデルもいないのに、同性愛者だと堂々とすることはできない
- 学校にいる生徒たちにはLGBTのロールモデルが必要
- 公共の場で手をつないだりキスをすることは、私にはとても難しい
- パレードには参加したいけれど、知り合いに見られるかもしれないと思うと怖い
- お母さんに病気じゃないかと言われた
関連記事
Photo&Text: Asaki Abumi