大学生バイト、年収の壁は103万円と130万円。源泉徴収されたままなら確定申告を!
毎年、後期授業の1回目の最後に、プチ情報として伝えているのが、学生の収入と税金のこと。授業後に数名から質問が寄せられるなど、学生の関心度も高いです。
■「親の扶養」の範囲にしたいなら年103万円以下に
年末が近くなると、学生にとっても気になりだすのが、「扶養の範囲」となる働き方。親御さんからも言われているのでしょう、「働きすぎてたらどうしよう…」と不安になっている学生もいます。大学生がアルバイトで気を付けるべき収入の壁を整理しておきましょう。
●年収103万円
年収103万円の壁は、大学生本人の所得税がかからないラインであるとともに、親の扶養親族になれるかどうかの収入のラインでもあります。
給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円までは、学生本人の所得税は0円となります。学生が19歳以上23歳未満(年末時点の年齢)なら親の特定扶養親族となり、親の所得から所得税で63万円、住民税で45万円の特定扶養控除を引くことができます。
親から「控除の関係で年収103万円以下に抑えてね」などと言われていて、103万円を超えて働いたことがわかった学生は、親に知らせておく必要があります。親も年末調整で扶養家族などを職場で申請しなくてはならないためです。
ちなみに、特定扶養控除の対象になるかどうかで、どれくらい税額に影響があるかというと次の通り。
<特定扶養控除適用>
例)親の所得税率が20%の場合(住民税の所得割は一律10%)
所得税:63万円×20%=12.6万円
住民税:45万円×10%=4.5万円
合計17.1万円
概算ですが、親の所得税率が20%なら17.1万円、10%でも10.8万円の影響があります。調整が可能なら、103万円以下に収まる働き方に抑えた方が、世帯としてのメリットは大きいと言えます。
●年収130万円
年収103万円を超えても、学生には勤労学生控除27万円が適用されるので、学生本人の給与は年収130万円までは所得税がかかりません。
住民税のラインはこれより少し低めです。住民税の基礎控除は43万円、勤労学生控除は26万円であるため、給与所得控除55万円を足し合わせると124万円。年収124万円を超えると、住民税の所得割が課税されます。年収がそれ以下でも住民税の均等割(年5000円前後。自治体で異なる)は課税されます。均等割の課税ラインは年収93万~100万円など自治体で異なります。
また、130万円を超えると、学生自身でアルバイト先の健康保険か、国民健康保険への加入が必要となります。年金については、年収目安で183万円までは、国民年金の学生納付特例制度の対象となり、支払いが猶予されます。
■年収130万円以下で源泉徴収されていたら確定申告を
アルバイトを複数掛け持ちしたり、就活で忙しいからと年の途中でやめたり、あるいはやめてほかに移ったりなどもあるでしょう。月8.8万円以上働くと、源泉所得税が引かれます。年収130万円以下であるのに、年末調整されずに源泉徴収分が残った場合は、翌年3月15日までに確定申告をすれば、所得税が還付されます。
年末に届く源泉徴収票を必ずチェックして、年収と源泉所得税の有無を確認してみましょう。確定申告は、スマホとマイナンバーカードがあれば、e-Taxによる申告ができます。
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