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就職率が上がっても、大学新卒の1割強(8.9人に1人)は安定的な就職ができない!?

豊田眞弓永続家計アドバイザー/FP/大学非常勤講師
(写真:アフロ)

親が必死で教育費を捻出してわが子を大学まで進学させても、一定割合で進学や安定的な就職ができていないという実態があります。就職率が上がっても、です。

■2022年4月の卒業者は59万人

文部科学省「学校基本調査」の中には、大学新卒者の「卒業後の状況」のデータもあります。まずは、2022年5月1日時点のデータを見てみましょう。

大学卒業後の状況 ( )内は割合

・卒業者……59万137人

・進学者……7万3106人(12.4%)

・就職者……43万9683人(74.5%)

※就職者=自営業主等や無期雇用労働者、雇用契約期間が1年以上かつフルタイム勤務相当の有期雇用労働者、進学者のうち就職している者を含む。

(文部科学省「令和4年度学校基本調査(確定値)」より)

大学卒業後の就職率は、2019年に78.0%と過去最高となったものの、コロナ禍の影響などで2020年、2021年と下がり、2022年は74.5%とやや改善しています。

■大学院などへの進学率は微増

大学卒業者の大学院などへの進学率は、2010年3月の15.9%をピークに低下が続いてきましたが、2020年に11.3%と底を打った後、2年連続で微増。2022年は12.4%となりました。

修了後の就職率は、修士はほぼ横ばい、博士も良かった時代はあったものの、直近ではほぼ横ばいです。

■1割強(8.9人に1人)が進学も“安定的な”就職もしていない!?

大学を卒業後、進学も安定的な就職もしていないとされる学生もいます。同データのうち、「有期雇用労働者のうち雇用契約期間が1年未満の者」や「臨時労働者」、「進学も就職もしていない者」を合計すると、約6.6万人(11.2%)となります。

わかりにくいので、勝手にこの合計に対し、「進学も“安定的な”就職もしていない者」と名付けさせていただきました。割合では8.9人に1人。

進学も“安定的な”就職もしていない者

・有期雇用労働者のうち雇用契約期間が1年未満の者……6914人(1.2%)a

・臨時労働者……4058人(0.7%)b

・進学も就職もしていない者……5万5286人(9.4%)c

※進学も就職もしていない者=進学準備中、就職準備中、家事手伝いなど

進学も安定的な就職もしていない者=a+b+c=6万6258人(11.2%)

(文部科学省「令和4年度学校基本調査(確定値)」より)

しかし、過去のデータを見ると、十数年前の平成23年、平成24年は、この割合が19~20%(5人に1人!?)だったことを考えると、むしろ良くなったと考えるべきなのでしょうか。就職率が高かった令和元年、令和2年は低くなったものの、以後は微増です。

■実際はもっと高い可能性も!?

「学校基本調査」では、就職者として、「自営業主等や無期雇用労働者、雇用契約期間が1年以上かつフルタイム勤務相当の有期雇用労働者、進学者のうち就職している者を含む」としています。

しかし、厚生労働省では、非正規雇用者として次のような働き方を挙げています。

パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託社員、その他

一般的には、有期雇用者は非正規雇用の扱いとされることを考えると、実際には、もう少し高い=悪いデータになる可能性があるのではないでしょうか。

大学で学ぶのは就職のためだけではないとはいえ、親の立場で考えると、必死に教育費を捻出して進学させた挙句、1割を超える確率で、進学も安定的な就職もできない可能性があるというのはきつい。就活をゴールに置くなら、戦略を考え直す必要があるのかもしれません。

【参照】

文部科学省「令和4年度学校基本調査(確定値)」

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永続家計アドバイザー/FP/大学非常勤講師

<生涯永続できる家計の実現を!> マネー誌・女性誌等のライター・コラムニストを経て、独立系FPへ。講演・研修、コラム執筆や監修、個人相談などを業務としている。ライフワークとして、子どもから大人の方まで幅広く金融経済教育に携わっている。亜細亜大学ほかで非常勤講師、子どもマネー総合研究会理事を務める。趣味は講談、投資、猫に添い寝。

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