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2ストライクから申告敬遠で歩かせ、次の打者にホームランを打たれる。これは采配ミスなのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
トニー・ラルーサ(シカゴ・ホワイトソックス)May 28, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月9日、シカゴ・ホワイトソックスのトニー・ラルーサ監督は、2点ビハインドの6回表、2死二塁の場面で、トレイ・ターナー(ロサンゼルス・ドジャース)を歩かせ、次打者のマックス・マンシーと勝負することを選んだ。その結果は、3ラン本塁打。ホワイトソックスは終盤に追い上げ、8回裏と9回裏に2点ずつを挙げたが、9対11で敗れた。

 仮に、ホワイトソックスが勝利を収めるか、勝敗にかかわらず、ベネット・スーザがマンシーを討ち取っていたとしても、ターナーに対する申告敬遠は、物議を醸していただろう。

 ラルーサ監督が申告敬遠を指示したのは、ターナーが打席に立つ前ではなかった。その時点のカウントは1-2だった。1ボールと2ストライクだ。スーザはターナーを追い込んでいた。

 もっとも、スーザがターナーに投げた3球目はワイルド・ピッチになり、一塁走者が二塁へ進み、一塁は空いた。スーザは左投手、ターナーは右打者、マンシーは左打者だ。こうしたことからすると、2ストライクからの申告敬遠は、極めて異例ではある――前例があるのかどうかはわからない――ものの、ラルーラ監督がそうしたことは理解できる。

 データも、それを裏づける。今シーズン、ターナーは、左投手に対し、カウント1-2となった後に15打数5安打(打率.333)を記録している。一方、マンシーは、5月26日から前日まで、左肘の故障で離脱していた。故障者リストに入るまでの打率は.150。本来なら、左打者を苦にする打者ではないが、今シーズンの対左は打率.125だった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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