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三連休、どこ行く? はじめての「ひとり温泉」女性ひとり客が”絶対外さない”「宿選びのコツ」食事編

山崎まゆみ観光ジャーナリスト/跡見学園女子大学兼任講師(観光温泉学)
ひとり温泉には嬉しいカウンター席がある箱根「はつはな」の客室(撮影・筆者)

はじめての「ひとり温泉」で、”絶対外さない”「宿選びのコツ」は事前に食事処の環境を確認しておくことだ。

ひとり温泉の場合は、もちろん食事もひとり。食事中、話し相手はいないが、美しい

景色が食事のお供に

話し相手がいないということは、意識は食事に行く。そして風景があれば視線はそちらへ。

宮城県「峩々(がが)温泉」は、夜になると蔵王の山々がライトアップされる。

30席ほどの食事処のなかで、ひとり客には窓際の席が心地いい。

雪深い蔵王の山の、春の訪れを見るのが好きだ。

いままで雪の下で春が来るのをずっと待っていた植物たちが一斉に芽吹く。そのエネルギーのおすそ分けをしてもらえそう。

夜の山もしっとりしていていいが、春の植物が芽吹く早朝から日中にかけての山の姿を眺めながらの朝食も、心身に新鮮な風が吹き抜けるようだ。

ライトアップと言えば、箱根の宮ノ下にある改装前の「富士屋ホテル」で見た光景も忘れられない。

日本国内で初めての外国人観光客用に造られたホテルが「富士屋ホテル」とは、周知の事実だろう。ホテルの敷地内には、外国人観光客を意識した美しい木造建築の「花御殿」があり、「富士屋ホテル」のメインダイニングからは、ライトアップされたこの「花御殿」が眺められた。

随分前だったが、ひとりでこのメインダイニングで食事をした晩のこと。夜空に月が浮かび、月光に照らし出された木造建築の美しさが際立ち、料理もぐんとシャープな味わいになった。

近年のひとり温泉ニーズに応えて、最近は窓に面したカウンター席を見かけるようになった。例えば、神奈川県の箱根湯本温泉「はつはな」の食事会場「花笑(はなえみ)」では、渓谷を前にカウンター席が用意され、私はここで食事を摂った。朝食らしい優しい味わいで、地元のフレッシュな秦野野菜がふんだんに使われていた。なによりも目の前に広がる渓谷の緑一色に、目を奪われた。ただただ緑を眺めながら食した。

ひとり温泉には嬉しいカウンター席がある箱根「はつはな」(撮影・筆者)
ひとり温泉には嬉しいカウンター席がある箱根「はつはな」(撮影・筆者)

美しい風景でおいしさも倍増(撮影・筆者)
美しい風景でおいしさも倍増(撮影・筆者)

最近、私は素泊まりで宿を取ることもある。

地方都市での名店を愉しんだ後に、宿に入るのだ。記憶に新しいのは新潟市の駅から徒歩5分の新潟日報ビルの最上階にある「鉄板焼き静香庵」。カウンターの席から一望できるのは、日本海に浮かぶ佐渡島とその手前の新潟市の街並み。夏の夕暮れは特にダイナミック。夏の蒸気がレンズの作用をするからだろうか、空一面がピンク色に染まり、息をのむ。景色もまたご馳走だった。

※この記事は2024年9月6日に発売された自著『ひとり温泉 おいしいごはん』(河出文庫)から抜粋し転載しています。

観光ジャーナリスト/跡見学園女子大学兼任講師(観光温泉学)

新潟県長岡市生まれ。世界33か国の温泉を訪ね、日本の温泉文化の魅力を国内外に伝えている。NHKラジオ深夜便(毎月第4水曜)に出演中。国や地方自治体の観光政策会議に多数参画。VISIT JAPAN大使(観光庁任命)としてインバウンドを推進。「高齢者や身体の不自由な人にこそ温泉」を提唱しバリアフリー温泉を積極的に取材・紹介。『行ってみようよ!親孝行温泉』(昭文社)『女将は見た 温泉旅館の表と裏』(文春文庫)『宿帳が語る昭和100年 温泉で素顔を見せたあの人』(潮出版社)温泉にまつわる「食」エッセイ『温泉ごはん 旅はおいしい!』の続刊『ひとり温泉 おいしいごはん』(河出文庫)が2024年9月に発売

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