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来週は北極で溜まった寒気がクリスマスの頃のアメリカ東部のように極東へ南下、その直前に春の陽気

饒村曜気象予報士
晴れ間が広がる西日本と東日本太平洋側(1月8日13時)

一時的に寒気南下も今週末は異例の暖かさ

 三連休の最終日、1月9日の成人の日は前線を伴った低気圧が北海道を通過する見込みです(図1)。

図1 予想天気図(左は1月9日9時の予想、右は1月10日9時の予想)
図1 予想天気図(左は1月9日9時の予想、右は1月10日9時の予想)

 このため、東日本日本海側や北日本は雲が多く、日本海側を中心に雪や雨が降る見込みです。

 西日本や東日本太平洋側は概ね晴れますが、西日本日本海側は昼頃から次第に雲が広がり、雨の降る所があるでしょう。

 また、近畿や東海でも夕方以降、所によりにわか雨がありますが、最高気温は、全国的に平年より高くなる所が多い予想となっています。

 低気圧通過後の10日は、一時的に冬型の気圧配置となって寒気が南下してきますが、11日から週末にかけ、晴れることで地表面が日射で温められ、南から暖気が北上して1月中旬としては異例のサクラが咲く頃の暖かさとなる見込みです。

 いまは寒中で暦の上では一番寒い頃ですが、この先は週の後半ほど異例の暖かさとなりそうです。

 積雪が多い所では急に雪どけが進みますので、雪崩や落雪、融雪による路面状況の変化や河川の増水にご注意ください。

 気象庁では全国の915地点で気温を観測していますが、12月19日は真冬日を297地点(全国の約32パーセント)で、冬日(真冬日を含む)を728地点(全国の約80パーセント)で観測し、ともに、現時点での今冬の最多です。

 その後、年末から年始には強い寒波が南下し、真冬日の観測地点数は増えていますが、西日本から東日本の太平洋側の地方では、概ね晴れの天気が続き、気温は平年並みであったことから、昨年12月19日の真冬日や冬日の観測地点数は超していません(図2)。

図2 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年11月1日~令和5年1月8日)
図2 夏日と冬日、真冬日の観測地点数の推移(令和4年11月1日~令和5年1月8日)

 それほど12月中旬の寒波は強かったのです。

 ただ、今週末は、全国的に気温が上昇することで、冬日や真冬日は少なくなる見込みですが、このまま暖かくなるわけではありません。

強い寒気の南下

 今週末にかけて、この暖気北上が強まり、しかし、来週は一転して寒気が南下し、真冬並みの寒さに戻るという大きな気温変化になりそうです。

 北半球の上空約1500メートルの気温変化をみると、クリスマスの頃はアメリカ東部に北極から強い寒気が南下し、シベリア中部にも強い寒気が南下していました。

 正月の頃は、強い寒気が北日本にまで南下し、三連休明けの1月10日も強い寒気が南下する見込みです(図3)。

図3 上空約1500メートルの気温分布の変化(左上はクリスマスの頃、右上は正月頃の実況で、左下は三連休明けの頃、右下は来週の予想)
図3 上空約1500メートルの気温分布の変化(左上はクリスマスの頃、右上は正月頃の実況で、左下は三連休明けの頃、右下は来週の予想)

 ただ、強い寒気の範囲が狭く、長続きしないと考えられ、今週末には暖気が入ってくるのですが、来週になると再び強い寒気が南下してくる予想です。

 今度の強い寒気は範囲が広く、長続きする懸念があります。

 福岡などの西日本では、今週末に季節外れの暖かさとなったあと、来週は平年並みまで一気に気温が下がる見込みです(図4)。

図4 福岡の最高気温と最低気温の推移(1月9日~15日は気象庁、1月16日以降はウェザーマップの予報)
図4 福岡の最高気温と最低気温の推移(1月9日~15日は気象庁、1月16日以降はウェザーマップの予報)

 東京など東日本も同じ傾向です(図5)。

図5 東京の最高気温と最低気温の推移(1月9日~15日は気象庁、1月16日以降はウェザーマップの予報)
図5 東京の最高気温と最低気温の推移(1月9日~15日は気象庁、1月16日以降はウェザーマップの予報)

 しかし、札幌は、今週末に季節外れの暖かさとなったあと、来週は平年よりかなり低くなる見込みです(図6)。

図6 札幌の最高気温と最低気温の推移(1月9日~15日は気象庁、1月16日以降はウェザーマップの予報)
図6 札幌の最高気温と最低気温の推移(1月9日~15日は気象庁、1月16日以降はウェザーマップの予報)

 平年値といっても、一年で一番寒い時期の平年値です。

 それをかなり下回りますので、厳しい寒さとなる懸念があります。

 季節外れの暖かさから一気に真冬の寒さへ、大きな気温変化ですので、最新の気象情報を利用し、体調管理に努めてください。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3の出典:ウェザーマップ資料をもとに筆者作成。

図4、図5、図6の出典:気象庁ホームページとウェザーマップ資料をもとに筆者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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