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【京都市西京区】平安のイケメン貴公子在原業平隠棲の寺で天蓋桜が5分咲き 今週末には満開でしょうか!

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 天を覆うように横へと広がる枝振りから「天蓋の桜」とも言われるのが、大原野にある「十輪寺」の樹齢200年を超える大枝垂桜です。高廊下、茶室、御殿の三ヶ所から、場所を変え見る人に様々な想いを感じさせると言われる「三方普感の庭」に植えられています。2024年3月27日に訪れてみました。

 例年、この時期には満開になっているのですが、今のところ5分咲きといったところでした。住職によると気候がぐんと暖かくなるため、今週末当たりに満開になるのではと伺いました。

 小塩山の麓にある十輪寺は、通称「なりひら寺」と呼ばれ、平安前期の歌人で「伊勢物語」の主人公、また作者といわれる在原業平(ありはらのなりひら)の墓所があります。天台宗の古刹で、平安時代、文徳天皇の后藤原明子(ふじはらあきらけいこ)の世継ぎ誕生祈願のため、伝教大師最澄作の延命地蔵菩薩を安置したのが始まりです。

 業平は父方は、桓武天皇の曾孫であり、母方は桓武天皇の孫にあたります。血筋からすれば高貴な身分ですが、薬子の変により皇統が嵯峨天皇の子孫へ移っていたこともあり、臣籍降下して在原氏を名乗っていました。伊勢物語では、伊勢斎宮恬子内親王始め、高貴な女性たちとの禁忌の恋などが語られ、高尊の生まれでありながら反体制的な貴公子というイメージで語り継がれています。

 当時、貴族の風流な野遊びの一種に塩焼きがあります。本堂の裏山には、業平の塩竃の跡があります。業平は、境内の小高い丘に塩竃をもうけて煙をたなびかせました。業平の母を慰めるためとも、また、忘れられない恋人・二条后(藤原高子)への思いを煙にたくしたとも伝えられています。業平には、煙の如く消え去った優雅な生活を惜しむ気持ちがあったのかも知れませんね。

 善峯寺や光明寺、柳谷観音といった西山三山、紫式部の氏神様の大原野神社、花の寺として知られる勝持寺や正法寺など魅力いっぱいの西山山麓大原野へぜひお立ち寄りください。

 「十輪寺」(外部リンク)京都市西京区大原野小塩町481 075-331-0154

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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